日本の医療技術の競争力を高める
―具体的に、政府と民間が治療機器の開発を進めるための支援として、専門の研究機関である大学はどういう役割を果たそうとしているのですか。
橋爪 平成23年3月に設立される「九州大学先端融合医療研究開発センター」は、経済産業省の支援が中心となって設立されるのですが、すでに九州大学病院は全国で6つあるトランスレーショナルリサーチ支援拠点であると同時に、それを臨床応用する組織として、日本で初めて「先端医工学診療部」が作られています。
私はこの先端医工学診療部の責任者で、大学内の他の学部の先生方、外部の企業や自治体などと、先端医療の開発に必要なさまざまな技術交流を進めてきました。
ロボット開発企業のテムザックと「プレホスピタルケアロボット」をいっしょに開発してきたのも、その活動の一貫です。しかし、本格的な先端医療の開発には、より組織的に、さまざまな大学研究者と企業や関連する専門の技術者が一同に集まり、開発のアイデア出し、医療現場からのフィードバックを含めた技術の練り上げ、臨床での問題点抽出、薬事法認可に必要なデータ収集など、一貫した体制作りが必要であると切実に思っていました。
こうした組織作りが重要であることは政府の関連省庁の方々も理解されていて、日本国内に2カ所、神戸と福岡に新しく産官学が連携した先端イノベーションセンターを作ることが決まったのです。
「九州大学先端融合医療研究開発センター」には、九州大学のなかからは医学部だけでなく、工学部、歯学部、薬学部、農学部、理学部、生体防御医学研究所などから関連した研究をされている先生方に参加いただきます。さらに九州大学だけでなく、他の大学の研究者の方々にも、さまざまなプロジェクトに広く参加いただく予定です。
また、医療機器の開発を手掛けている企業や関連技術を持った企業にもセンター内にオフィスを持っていただき、いっしょに開発から実用化までの研究開発を進めていく予定で、すでに多くの企業から参加の意向をいただいています。
この取り組みにより、大学という研究機関がこれまでの殻を破って、医療分野で本当の産官学連携による成果を出せる、いい機会になると信じています。
【松尾 潤二】
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