ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

社会

浚渫工事ストップに漁協の力 (1)港湾事業の闇
社会
2009年12月 3日 08:00

 国の工事が止められ、2億円近い税金が眠ったままになったにもかかわらず、その顛末についての公式記録は、事実上何も残されていなかった。

 国土交通省九州地方整備局(以下、九地整)と、同局発注の『博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)』を1年近くストップさせた福岡市漁業協同組合側(正式には同漁協関係者らで構成される『博多湾漁業権管理委員会』)との交渉過程については、詳細を語る記録が残されていない。
 公文書公開請求で九地整側から開示されたのは下の文書1枚だけ。国の直轄工事が1年も止められたというのに、まともな記録が残されていないということだ。九地整側に何回確認しても、「他に記録はない」の一点張りである。杜撰と言うより「隠蔽」に近いと考えざるを得ない。都合の悪い事実は表に出したがらない「お役所体質」を如実に示している。しかし、開示された1枚の文書からは、多くの疑問が生じる。

 『博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)の漁協との打ち合わせ記録』と題された公文書には、昨年10月14日の同工事の開札から、工事再開が決まった今年6月12日までの経過が簡単に記されている。一読して分かるとおり、九地整側の『誰が』、漁協側の『誰と』交渉したのかまるで分からない。これではまるで「メモ」である。この程度の記録しかないというのに、4億円以上の税金投入事業が止められ、再入札を行うべきところを、年度をまたいで工事を行わせたことになる。真相は藪の中と思われたが、関係者に取材を進めるうち、意外な事実が浮上する。背景には、福岡市における港湾事業の歪みが存在する。それを証明するためにも、残された1枚の「公文書」を詳しく検証してみたい。

 問題の「打ち合わせ記録」を見ると、九地整側は、2008年10月29日に『管理委員会の委員長に施工業者が決まったことを通知』している。なぜ、国の工事の施工業者をいちいち漁協の管理委員会に通知するのか。まずはそこが疑問である。

 九地整側に尋ねたところ、「慣習、慣例に従っただけ」と回答した。おかしな話である。
 工事計画を事前に説明するというのならまだ分かるが、施工業者を通知する必要はない。漁業関係者から総スカンをくらうような劣った建設業者が存在するのなら、「総合評価方式」における評価点も下がるはず。ましてや、役所の評価が高いはずの落札業者に問題があったとは思えない。残された記録には、何かが欠落している。

博多港泊地浚渫工事の漁協との打合せ記録

(つづく)

※記事へのご意見はこちら


※記事へのご意見はこちら

社会一覧
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2012年11月25日 07:00
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2012年11月24日 07:00
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2012年11月23日 07:00
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2012年11月22日 16:42
「自爆民主党解散」シリーズ
2012年11月21日 15:20
イベント情報
2012年11月19日 14:00
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル