これが問題の「変更契約書(第1回)」である。
国土交通省九州地方整備局が発注した『博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)』の本来の工期は、平成20年10月29日から平成21年3月27日である。同工事は平成20年度内に終わっていなければならない工事だったのだ。
しかし、「契約変更理由書」に記されているように、漁協側のクレームで工事が止められる。その後、同理由書によれば「平成20年(これは九地整側の記載ミスで21年の間違いである)4月20日に着工同意の見込みとなった」ため、工期が延長される。
「変更契約書」に記された工期期限は、平成21年9月18日までとなっている。「見込み」程度で年度をまたいでの工事にゴーサインを出し、契約書まで交わしたということだ。随分乱暴な公共事業の進め方である。
九州地方整備局と漁協側の「打合せ記録」によれば、「2009年4月20日」の日付けで「・再度、組合員から工事再開を延ばしてほしいとの意見が出てきたため、工事を見合わせる」と記されている。着工同意の見込みとなっていた「4月20日」に、再び工事を止められたというのである。あまりに都合が良すぎる。
考えられるのは、はじめから「合意」自体がなかったということだ。その場合、九州地方整備局は、ありもしない「合意」をねつ造したことになる。「ねつ造」の目的は、何としても落札企業に施工させるためか、あるいは自らの失敗を隠蔽するためかのどちらかである。
漁協側との交渉について、詳細な記録がないとする九州地方整備局の姿勢には、不信感がつのる一方である。
※記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら