消臭効果を標ぼうして排除措置を受けた健康食品の通信販売会社を訪問した。排除措置命令に至る経緯をたずねたところ、昨年12月に公正取引委員会に呼ばれ、「(昨年)9月に調査をした。排除措置を予定しているから、資料を提出してくれ」といきなり命じられたという。景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)第6条に基づき、2週間以内に効果効能を証明する確かな根拠を示さなければ排除命令を受ける。同社は、「2週間では効果を裏付ける確かなデータを取得する余裕もなかった」とし、結局、優良誤認表示(商品が著しく優良とみなされるような誤解を与えた表示のこと)とみなされ、排除命令が下された。
メーカー側では一般的に、景品表示法違反行為に対し、「注意」「警告」などの段階を経た後に、排除命令が下されるのだろうと、安易に考えているのではないか。さにあらず。命令は突然天から降ってくるのである。
公正取引委員会によれば、調査に至るまでの明確な基準はないという。調査に入るきっかけは、「消費者モニター」、「一般からの申告」、「内部告発」――などを主な手がかりにしているとされるが、関係者の話によれば、同業他社からのいわゆる『チクリ』が大部分を占めるという。鉄砲玉は後ろから飛んでくるのである。
以上の情報源を元に、「消費者への影響の度合いによって」(公取委)排除措置を適用するとしている。
同社はその後、昨年の売上の70%まで落ち込んだ。「景表法の怖さを思い知った」と、担当者は顔を曇らせる。
今年9月以降、景品表示法は消費者庁に移管しており、今のところ健康食品での摘発はない。
【田代】
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