吉田宏福岡市長の就任から3年が経った。この間、福岡市は「眠ったまま」(市関係者)の状態に陥っている。人工島の土地売却頓挫や、こども病院の同島への移転問題で紛糾するなど「負の連鎖」が続く。未来指向の施策は何一つ実現していない。次の市長選挙まで1年、停滞する吉田市政の検証を試みる。
市長在任中の仕事ぶりを評価する指標として「マニフェスト」の存在意義は大きい。吉田宏氏が06年市長選で掲げたマニフェストを見ると、人工島事業やこども病院移転の見直し、留守家庭子ども会の無料化など、反故にされてきた目玉政策が並べられている。
吉田市政の検証にあたり、データマックス市政取材班が特に注目したのは、マニフェストに記された「小中学校の校庭芝生化」である。公約を守らず、不必要なことに金をかけるというのが吉田市政の特徴なのだが、「芝生」はその典型なのだ。
吉田市長のマニフェストを見ると《4年間で行う重要施策》の項目には、<緑あふれる潤いの街へ>として『小中学校の校庭の前面芝生化を進める』と明記してある。1期目の重要施策だったことになる。しかし、吉田市長が実現した「校庭の芝生化」は1件もない。07年度に予算化が認められた百道浜小学校の校庭芝生化は、山崎広太郎前市長時代にレールが敷かれた事業である。吉田市長は、校庭芝生化実現に関して何の工夫もしていないのだ。
そうした中、福岡市は今年8月、ヒート・アイランド対策の一環として、市役所前広場を「芝生化」する。タイル張りだった1,650m2の同広場に人工芝を敷き詰めたのである。投入された税金は約4,300万円。市民に何の利益ももたらさないムダな公共事業である。
ところが、その後の追加取材で、この市役所前広場の人工芝に関する全ての公文書を公開請求したところ、先週11日になって、新たな事実が判明した。
芝生敷設まで、検討、実験、実証、検証と次々に業務委託を積み重ね、約4,300万円の敷設工事費を合わせ、1億に迫る巨額な税金を投入していたというのである。
この問題の詳細は、別稿で改めて報じるが、『芝生化』問題は吉田市政の特徴を知る上で極めて重要なのである。
(つづく)
※記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら