昨年10月、国土交通省九州地方整備局が発注した『博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(その2)』は、開札当日に事実上工事がストップしたにもかかわらず、工事着手金(前渡金)が支払われていた。
旧運輸省関連の公共事業に関し、「着手届け」が要求されていないことも一因ではあるが、一番の問題は、「口頭」による漁協のクレームで国の直轄工事が止まってしまったことにある。
正確に記すと、福岡市漁協の関係者らで構成される「博多湾漁業権管理委員会」なる組織が、公共事業の施工に対する強大な力を持っているということである。結論から言っておくが、こうした漁協の姿勢には疑問を禁じ得ない。港湾事業の弊害となっているとの指摘があることも事実だ。
『博多湾漁業権管理委員会』の委員長を務める福岡市漁協・箱崎支所の運営委員会会長に話を聞いたところ、委員長は、「長年の浚渫工事により、博多湾には浮泥が堆積している。漁師にも生活があり、稚魚が死滅すると大変なことになる。(浚渫工事を)止めることは申し訳ないが、やむを得なかった」と話す。「一度漁船に乗せるから、浮泥の実態をその目で見て欲しい」とも勧めてくれた。それでも国の工事を止めることはおかしいのではないか、と質問すると、「どうすればいいんだ」と憤る。しかし、今回工事を止めたことに関しては、漁協側の説明に整合性がない。
市漁協の組合長や、管理委員会委員長の話を振り返ってみたい。
(つづく)
※記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら