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表示規制の狭間で揺れる健康食品
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2009年12月16日 11:16

 11日、消費者庁で開催された「健康食品の表示に関する検討会」(田中平三座長)の議事録が消費者庁ホームページに掲載された。同検討会は、花王(株)(東京都中央区)が販売する特定保健用食品(以下、特保)の販売中止騒動が引き金となって発足したともいわれている。今後、特保制度の見直しを含め、健康食品の表示のあり方について論点整理を行い、法整備の可能性などをさぐる。会議は来年3月まで計6回を予定している。決して充分な時間とはいえない。
 検討会には、食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省、消費者庁の行政担当官のほか、消費者団体、健康食品関連団体、通信販売事業者団体、生協など各界の代表者ならびに大学教授、行政機関合わせて13人が委員として名を連ねた。同メンバーは比較的バランスのとれた人選だと、健食業界からも評価されている。座長は甲子園大学学長の田中平三氏が務めた。
 自由討議とされた今回は、健康食品の分類上の位置づけ、流通の実態や市場規模、規制などについて、事務局から一通りの説明が行われた後、それぞれの立場から表示をめぐる問題に対する疑問や要望がとびだした。討議の内容については、消費者庁HP上の議事録(http://www.caa.go.jp/foods/index.html)に、問題点については業界紙の健康産業新聞(UBMメディア発行)などに詳しく報じられている。
 一部の業界関係者のなかでは、検討会が発足したきっかけについて、消費者団体による健康食品たたきとの冷めた見方もある。論点整理で意見を集約した後には消費者委員会で猛烈な健康食品つぶしが始まるだろうとの悲観論も出ている。
 議事録を注意深く読めば、それぞれの立場によって微妙な意見のズレが見え隠れしている。同検討会の田中座長がこれまた座長を務め、2003年から翌年まで13回にわたって行なわれた、「『健康食品』に係る今後の制度のあり方についての検討会」では、論点が特保と栄養機能食品のみに絞られ、一般の健康食品(いわゆる健康食品)は置き去りにされてしまったという過去がある。
 ただし当時と比較すると、健康食品の認知度も今のほうが格段にアップしている。消費者保護の一言で健食規制を断行することはできないかもしれない。被害者救済の立場に立った消費者保護か、利用者受益の立場に立った消費者保護か、微妙なバランスを迫られることだろう。その背景には消費者を盾にとった既得権益団体の影が見え隠れしている。

 「いわゆる健康食品」と曖昧な呼称で呼ばれ、明確な定義を与えられていない健康食品は、まさしく土地を奪われた民族のようにいまだに天と地のはざまをさまよい歩いている。
 同検討会でも、「健康食品の定義につきましては科学的にも、また法律的にも明確なものはございません」という発言が座長から飛び出した。
 議事録には、消費者庁の平中食品表示課課長補佐が健康食品の定義について言及している箇所がある。「食品か医薬品かという区分については、食品衛生法第4条に規定がございます。『この法律で食品とは、すべての飲食物をいう。ただし、薬事法に規定する医薬品及び医薬部外品は、これを含まない』ということで、つまり薬事法に規定されている医薬品、あるいは医薬部外品以外の飲食物が食品とされている」。
 一方で医薬品の定義について、「薬事法の2条に規定がございまして、日本薬局方に収められている物、あるいは人や動物の疾病の診断、治療、または予防に使用される目的に関するもの、あるいは人や動物の身体の構造、機能に影響を及ぼすようなもの」と説明している。議事録では触れていないが、この条文にはカッコつきで但し書きがあり、「(医薬部外品と化粧品は除く)」と記されている。
 厚生省が昭和46年に出した通知以前は、ここに「(食品は除く)」との但し書きが記されていたとされる。現在、この条件書きがないために、「便秘を解消」などの身体の機能に影響をおよぼす食品は、「ニセ薬」とみなされ排除されてしまう(一定の効能効果が認められている特定保健用食品は除く)。どういう理由で削除されたのか、詳しい経緯はわからないが、法改正によって「食品を除く」の但し書きを復活させることで、健康食品の位置づけが明確になるのではないかという見解もある。
 つまり、薬事法第2条に「食品を除く」の文言を追加すれば医薬品の定義を外れるため、無承認無許可医薬品としての健食排除の動きに一定の歯止めをかけられるという論法だ。
 「錠剤、カプセルのものについては、表示という観点から言いますと、成分が何であるのか、あるいはそれはどのぐらい入っているのかというようなことは、どこまで表示できるかは薬事法や健康増進法との関係もありますが、(中略)NR(栄養情報担当者)の方がもしその商品を見ても、説明責任を果たせない現状ではいわゆる健康食品のところは、表示からはわからないと思っております」(国民生活センター調査役・宗林さおり氏)という消費者を代弁した意見もある。
 もちろん、健食関連法は健康増進法、食品衛生法、景品表示法と薬事法以外にもあるわけなので、ことはそう単純な話ではないかもしれないが、薬事法の改正により、少なくとも健康食品の定義が明らかになるのは確かなことかもしれない。
 今後の検討会のゆくえが健康食品のゆくえを左右する。次回の検討会は22日に予定されている。

【田代】

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