国土交通省九州地方整備局発注の浚渫工事が、1年近く止められた。工事にストップをかけた福岡市漁協の言い分は、アナゴやタコの稚魚が死んでしまうというものだが、それなら矛盾が生じてしまう。
工事を止められた「博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(その2)」の着工直前まで、同工事の1期分である「博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事」が行われていたのであるが、この工事には何のクレームも付けられていない。市漁協の組合長が言う、「平成19年の暮れ頃に、アナゴやタコの稚魚が見つかったため浚渫工事を止めてもらおうということになった」「稚魚の成育まで6~7か月」が本当のことなら、むしろ1期分の工事こそ止めなければならなかったはずだ。
市漁協の関係者らで構成される「博多湾漁業権管理委員会」の委員長(市漁協箱崎支所・運営委員会会長)は、博多湾の「浮泥」のひどさを強調する。さらに、1期分の工事が行われたことで、「浮泥」が海中に拡散したのだとも言う。漁師にとっては死活問題と説明してくれたが、「稚魚」についての生息調査やデータはないとしている。国の工事を1年近く止める理由としては、根拠が乏しいと言わざるを得ない。
そして最大の問題は、九州地方整備局と漁協側の「打合せ記録」に存在する。
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