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特別取材

【食への挑戦者たち】ベビーリーフ農家の挑戦(1)
特別取材
2009年12月18日 13:05

自分の野菜には自分で値段をつける
八女市・秀興園 溝田典秀さん

 食の多様化により、これまであまり目にしなかった野菜が市場に並ぶようになった。20年前なら誰も知らなかった野菜がスーパーで手に入る時代である。ベビーリーフもそのひとつ。ホウレンソウやルッコラなど葉野菜の若葉を摘んだもので、サラダなどに使われるものだ。今ではすっかり市民権を得て、多くの小売店で取り扱われている。
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 福岡県八女市に、そのベビーリーフの農家がいると聞き、取材にうかがった。秀興園の溝田秀典さんだ。溝田さんは、およそ1ha(ヘクタール。約3,000坪、10,000平米)の農地にガラスハウスやビニールハウスを並べ、ベビーリーフだけを育てている。傍らにはプレハブの建物があり、そこは道具置き場、摘んだベビーリーフの選別・パッケージングを行なう場所となっている。農園、プレハブのいずれもとても整理整頓が行き届いている印象だ。

 栽培方法も有機肥料中心で無農薬とこだわりを貫いている。安心でおいしい野菜を食べてもらいたいとの思いからだ。また、そのような栽培方法にベビーリーフは向いているのだという。ベビーリーフは先述のとおり、野菜が野菜として成長しきる前に収穫する。したがって種まきから収穫までの期間が短い。早くて2週間、遅くとも1ヵ月というスパンでの栽培となる。このサイクルの短さが虫の害や病気などの影響を受けにくくするのだ。そのおかげで無農薬での栽培が実現されているのである。

 安心、安全、健康な野菜として注目されるベビーリーフは全国から引く手あまた。溝田さんの農園では北は北海道から南は九州沖縄まで全国に出荷している。すべて契約栽培という点にも驚かされる。商社や小売店などからの発注を溝田さん自身が受けてパッケージング、販売まで行なっているのだ。しかも営業活動は一切していない。
 この独自の農園経営手法は溝田さんの「販売価格は自分で決める」という夢を実現したもの。この夢実現のために紆余曲折があったという。

(つづく)

【柳 茂嘉】


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