吉田宏福岡市長が就任してから3年。この間、常に問題となってきたのは「人工島(アイランドシティ)」である。
吉田市長が06年の市長選時に公表したマニフェストには、《すぐに行う重要施策》として、<人工島問題に解決の道筋をつける>と記されている。
「アイランドシティ(人工島)については、以下の方法ですべての土地を有効利用するための道筋をつける。(1)設定されている現在の土地利用区分をいったん白紙に戻す(2)アジアにおける位置づけを踏まえて、アイランドシティの『基本コンセプト』を作り直す(3)これまで築いたネットワークを生かし国内外の大企業に市長みずから売り込む…以下略…」。
この内容はどこまで実現したのだろうか。
まず、「(1)設定されている現在の土地利用区分をいったん白紙に戻す」という公約は、全く守られていない。市が行った人工島事業の「検証・検討」では、民間に業務委託した「土地調査報告書」を基に議論しただけで、「土地利用区分」を変更した事実はない。
平成20年に、市の第3セクター「博多港開発」が融資銀行団と結んだ新たな契約などでも、土地利用計画は従来のままである。
次に、「(2)アジアにおける位置づけを踏まえて、アイランドシティの『基本コンセプト』を作り直す」についても実現はしていない。基本コンセプトは従来のままであり、新たな人工島の位置づけがなされないままに3年が経過した。人工島に将来への展望が開けていないことは周知の事実だ。
唯一「(3)これまで築いたネットワークを生かし国内外の大企業に市長みずから売り込む」と記された点については動きがあった。市長のトップセールス(市側説明による)で同島の市工区5ヘクタールの土地を東京の企業(ニューシティコーポレーション)に売却予定であったが、不況のあおりを受けて頓挫してしまった。結論から言ってこの公約も達成されていない。
人工島に関して、吉田市長の公約は何一つ実現していないことになる。
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