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特別取材

【食への挑戦者たち】ベビーリーフ農家の挑戦(2)
特別取材
2009年12月21日 14:00

自分の野菜には自分で値段をつける
八女市・秀興園 溝田典秀さん

 九州自動車道の八女インターチェンジの近くに溝田さんの農園はある。この周辺は従来、米麦・茶の栽培が盛んだったところだ。溝田さんは高校で農業を学び、家業だった農家を継ぐ形で農業の世界に入った。当時は米麦を栽培する農家だったという。出荷は当然のように農協。自分のつくった野菜にいくらの値段がついたのか、通帳にお金が入るまで分からない。一般的なビジネスの世界では考えられないことだが、農業ではこれが普通なのである。
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 農協を通じた農業は実は非常に便利だ。大雑把に説明すると、まず種や苗、農薬、肥料など一括して農協を通じて購入することができる。また、その支払いを収穫まで待ってもらうことができる。そして収穫物は農協が責任を持って販売してくれる。農家には販売後に売り上げから借り入れ分を差し引いた金額が支払われるというシステムが農協にはあるのだ。要は金融、仕入れ、販売まで一括して農協が受け付けてくれるわけだ。

 ところがこの方法だと、いくらで作物が販売されたのか、いつ販売されたのか、どこに販売されたのかなどが把握しづらい。農家がすぐに分かるのは通帳に記載された金額のみ。売り上げから経費が差し引かれた金額が通帳に記載されるからだ。もちろん、請求すれば詳細は分かるのだが、溝田さんはそこに違和感を覚えた。丹精こめてつくった作物がいったいいくらの値段で取引されているのだろうか。自分でつくったものに自分で値段をつけたい。これが溝田さんの挑戦の始まりだったという。

 溝田さんは、まず米麦からの脱却を図った。一般に取り扱われる作物だと市場価格に強い影響を受けるためだ。自分で価格を設定するためには、なるべくオリジナリティのあるもののほうが有利と考えた。そこで当地としてはまだ珍しかった電照菊の栽培を始める。

 米麦の田ばかりの地で電照菊の栽培を始めるのは容易なことではなかった。電照菊のためには、まず設備が必要になる。電気を引くことから溝田さんは手をつけた。田んぼの中に電柱を16本引き込んだ。一部は電力会社が負担してくれるが、大半は自費となった。

(つづく)

【柳 茂嘉】


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