06年の市長選で吉田宏市長が公表したマニフェストには、有権者の心を惹きつけるような言葉が並ぶ。
「人工島問題に解決の道筋をつける」「多様な市民の総意に基づき、福岡市のグランドデザインを改めて提示する」「緑あふれる、潤いのある街へ」・・・。
しかし、吉田市長が掲げたものは何一つ実現していない。
報じてきたとおり、人工島問題は、マニフェストに記された「土地利用区分を白紙に戻す」ことを放棄し、土地売却計画も破たん。埋め立てが進む市工区については、何の展望も示されていない。人工島には、新たな税金だけが湯水の如く投入されていく。
市民の意見を汲み上げる努力もなされていない。こども病院の人工島移転問題では、同病院の患者家族をはじめ多くの市民から批判を浴びながらも移転計画を強行。
病院移転についての市民向け説明会には姿さえ見せなかった。肝心のところで逃げるのも吉田市長の特徴である。「聞きたかけん」と称して続けられてきた市民との対話の場も、事前に選ばれた人だけが参加できる「選挙向け」の道具である。この3年間、市長自身が市民と向き合ったことはただの一度もない。
マニフェストの冒頭に記された吉田宏氏の「基本理念」や「ビジョン」(参照)を読み返すと分かるが、内容は空疎である。「市長の顔が見えない」との市民や市関係者の意見は、的外れではない。もともと中身がなかっただけのことなのだ。
(つづく)
【市政取材班】
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