国土交通省九州地方整備局が昨年10月に発注した「博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)」は、福岡市漁協のクレームによって工事が止められた。
唯一残された公文書「博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)漁協との打合せ記録」(以下、『打合せ記録』)によって、もう一度工事中止に至る経過を確認してみたい。
2008年10月14日 博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)開札
2008年10月29日 宮川・淺川JVに決定。
2008年10月29日 管理委員会の委員長へ施工業者が決まったことを通知。
2008年10月29日 管理委員会より電話連絡
・整備局に話があるので会いに来るよう依頼を受ける。
2008年10月29日 管理委員会から要望
・「今年は昨年と比べ『あなご』や『手長タコ』の稚魚が結構発生している。この状況で、浚渫工事をされると濁りで、稚魚が死んでしまう恐れがある」と組合員から話が出ている。「浚渫工事の実施を春までは見合わせて貰うしかない」との話を受ける。
2008年10月30日 管理委員会の委員長と会合
・打開策が無いか相談するが、「組合員や支所の意見を無視できない」「管理委員会では、支所や組合員の意見が優先されるので、国が各支所と話をして貰うしかない」との回答を受ける。
以上の記述を見る限り、開札日に工事にクレームが付けられ、翌日には事実上工事が止められたことになる。
この記述の第一の矛盾点は、報じてきたとおり、「今年は昨年と比べ『あなご』や『手長タコ』の稚魚が結構発生している。この状況で、浚渫工事をされると濁りで、稚魚が死んでしまう恐れがある」という部分である。浚渫工事の濁りで稚魚が死んでしまうのであれば、直前に大手マリコン「若築建設」が施工した「博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事」を止めていなければならない。しかし、同工事には何のクレームもなかったという。なぜか「宮川・淺川経常建設共同企業体」が受注した工事のみ中止の要請が行われたのである。
最大の問題は、市漁協が工事の実施について知っていたにもかかわらず、施工業者が決まるまでクレームをつけなかったことである。
これこそ落札結果への不満の証左であり、入札を行なった九地整への嫌がらせと受け止められても仕方があるまい。
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