<徹底した議論の展開を封殺するな>
20日の夕方、竹原信一・阿久根市長がぶらりと福岡へやってきた。会食しながら「せっかくだから21日夕方に講演会をやろう」と提案して即座に決めた。緊急ということで、呼びかけはファクスのみ。40名の集まりとなった。驚いたのは、マスコミ関係者が15名もいたことである。やむなく、講演会後に記者会見の場を設けることとなった。
記者らの質問は「身体障害者の発言」に関することばかり。情けない話だが、取材にやってきた記者たちは竹原市長の失言を待ち構える、という姿勢に終始していた。「自分たちには大義の旗(身体障害者の味方)がある」ということだろう。
弊社の『ネットIB』に対して1日に20件前後のメールによるご意見が届く。その一つを紹介する。
---以下、ご意見メール内容---
記事タイトル :「障害者問題」
ご意見:今、市長(註:竹原阿久根市長を指す)は本音の話をして大変パッシングを受けておられますが、私は障害を持つ子を親として市長の意見は大変大事なことで根本から考えていかなくてはいけない事なことだと思います。
少し説明不足だとおもいますが間違いではありません。障害者の親の大部分は障害を受け入れるまでどれだけの苦しみを負い、絶望し、受け入れられなく苦しんでいる方たちもたくさんいます。先天性、後天性ではまた、話も違うこともありますが少なくても先天性や無理な出産などは考えるべきだとおもいます。一番苦しいのは本人です。家族です。同情やきれいな事を言えるのは自分自身でなくその場だけで済むからです。
人一人の人生ですよ。80年ですよ!それも親は一人で生きられない子を残して死ななければならないんですよ。綺麗事を言わないで欲しいです。市長さん頑張ってください。あなたは間違いありません(原本通り)。
---以上、ご意見メール終わり---
筆者が講演会を開催することを決めたのは、次の理由からである。
① 竹原氏の話を直接聞くことで、彼が何を訴えようとしたのかについて正面から向き合う必要がある。
② マスコミによって植えつけられた「竹原像」ではなく、生の竹原信一を知る良い機会である。
③ 「身体障害者」問題を建前でなく本音で議論する場を提供する。
21日の朝、講演に先立ち、竹原氏が弊社の社員たちの前で講話を行った。社員たちも異口同音に「基本的な考え方はわかった」と語る。同氏の哲学に共鳴したということではないが、認識が深まったのである。マスコミ関係者も従来のような「魔女狩り・言論封鎖」の情報発信手法はやめるべきだ。徹底した議論・討論の口火を切る役割を担ったどうだろうか。
<何さまか!!>
22日の夕方、TBS「みのもんたの朝ズバッ!」担当者なるものから電話をもらった。「聞くところによると、またあの市長が貴社で騒いだそうですね。できたらどういう内容だったか見せてくれませんかね」。
「おい、おい。君のところにどうして録画テープを見せなければならないの!!あなたが言っていることは(TBSの)ライバルのフジテレビに『材料を下さい』と言うのも同然の行為なのだよ。昨夜の講演会内容は『ネットIB』で見て」と答えておいた。初めて電話をかけてきて、平然と他社のデータを「見せてくれ」という神経は理解できない。『何様か』と言いたい。
この際、述べておきたいのは、同番組のように報道なのかワイドショーなのか分からない番組による弊害である。多くの視聴者が「朝ズバッ!」のような番組が流す内容を「報道」と混同している。しかし、同番組のように、その時々の時事ネタを情緒的な切り取り方で放送することは危険である。竹原発言にも言えることだが、冷静な議論を求めることこそ必要ではないだろうか。
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