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副知事辞任 福岡県町村会「接待疑惑」報道への警鐘
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2009年12月25日 08:07

 福岡県町村会の元事務局次長や参事らによる公金詐欺事件に絡み、福岡県の中島孝之副知事が辞任した。税金を使った役人の暴挙は許し難いが、今回の事件報道には危うさが付きまとう。あえて疑問を呈したい。

 西松建設による違法献金事件では、検察による国策捜査と、検察側から漏らされた捜査情報としか思えない、いわゆる「リーク記事」を乱発する大手メディアに疑問を呈した(参照)。特に、検察による情報操作としか思えない内容の記事で、事件に予断を与えることの危険性を指摘したのだが、在福の記者たちも同じ過ちを犯しているとしか思えない。
今年は裁判員制度がスタートした年であり、改めて事件報道のあり方が議論されてきた。報道によって冤罪を生んだ事件は枚挙にいとまがなく、そうした反省の上に立って、各社が新たな事件報道の指針を掲げた。しかし、その戒めは守られていない。

 我が国の刑事裁判は「起訴状一本主義」である。検察側が公判を請求するにあたっては、起訴状の他には、一切の証拠を添付してはならないことになっている。裁判官に予断を与えることがあってはならないからだ。しかし、マスコミ報道は否応なく裁判官の目に留まる。「起訴状一本主義」とは矛盾することになるだろう。だからこそ、事件報道は慎重であらねばならない。

 中島副知事をめぐる記事の大半は、同副知事が、クラブ接待、マージャン、ゴルフ旅行を強要したかのような印象を与えている。しかし各メディアとも、つい数日前まで接待に使われていたというクラブの名前さえ特定できていなかった。なぜ、同じような接待の内容だけが流布されたのか定かではない。「情報操作」の可能性が否定できないのだ。

 データマックスの取材からは、逮捕された町村会参事が、副知事を隠れ蓑に年間1千万円を超える飲食や遊びに興じていた疑いが浮上している。同参事の女性関係をめぐる乱行は相当なものだったという。公判が始まる前に、副知事だけが集中砲火を浴びることには抵抗がある。

 町村会の金で飲食などをしたとされる副知事をはじめ県幹部の責任は確かに重い。しかし、事件の実相を変えてまで責め立てるのは報道として正しい姿勢とは言えまい。むしろ求められるのは、なぜこうした事件が引き起こされたのかという点を解明する、いわば「明日につながる記事」であろう。

【頭山 隆】

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