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コダマの核心

地獄からの生還(27)~在日韓国人として『地獄へ連座する』ことはなかろうもん(後)
コダマの核心
2009年12月15日 10:52

<価値観の激変>
 ここで言いたかったこと、指摘したかったことは「マスコミ報道の一刀両断の犯罪者扱いでは片付けられない側面もあるよ」ということであった。背景には在日韓国人という歴史的な一面もあることを理解して頂きたかったのだ。虐げられた苦しい時代を共有する故に同志的結合を持続するのは個人領域で自由である。但し付き合い方は密やかにやるべきであった。公然とやるべきものではない。
 7社の経営者の中には暴力団組長との付き合いを自己顕示に利用していた者もいたかもしれない。公然と交友することが許されない時代になっていた。このことへの認識の欠落は経営者として脇が甘かったと批判されても仕方がない。だが批判されるだけのような生やさしくない事態に落ち込んだ。今回の制裁で7社の大半は企業存続が危ぶまれている。どの経営者も「在日韓国人として地獄(倒産)へ連座する」覚悟ができていなかろう。
 取材を重ねると、行政側も「暴力団との関わり」について勉強会を繰り返してきたようだ。県条例の説明会もなされてきていた。この時代の変わりように7社の経営者たちはあまりにも無頓着すぎた。発注の形も様変わりしてきている。一括丸投げの下請け受注も不可能になったから、同業者が面倒をみてくれることもない。加えて、「暴力団と付き合いは反社会的な行為」との価値観が定着した。

<在日韓国人としては異端児と喝破>
 在日韓国人の世界でも世代間で意識のズレ、価値観の差異は大きい。今回の7社の経営者たちには60歳前後の世代が多い。それに対して10歳若い経営者たちにコメントを求めた。二代目であるが、日本国籍にはチェンジしていない。三代目になる子供たちには、日本に帰化することは本人たちの自由意志に任せている。
 「コダマさん!!今回の事件の背景を『在日の歴史』として触れることは構わない。しかし、同情はしてくれるな!!在日の仲間たちの大半は人の道を歩いて必死で奮闘して成功してきた。7社の人たちの行為は異端児だ」と喝破する。正論である。
 今回は暴力団との安易な付き合いが、企業の存亡へとエスカレートするリスクをレポートしてきた。「法改正そのものが企業の命運を左右する」象徴は金融利息制限の法改正だ。少なくとも5年前まではサラ金業者のトップ企業群は1,000億円以上の法人申告を計上していた。オーナーの成金趣味がマスコミでも派手に扱われたことがある。一般国民の妬み指弾もあって、金融利息制限法が一瞬にして可決された。そこからの時代の様変わりは筆舌に尽くしがたい。金融成金オーナーの存在が跡形もなくなった。どの消費者金融会社もメガバンクの傘下に落ちた。金融業で、一族オーナー経営の会社は皆無になったのだ。
 『栄華を極めるのはただの一瞬』とは歴史の教訓である。「デフレ経済」の中で経営環境は劣悪である。さらに、企業リスクマネージメントには細心の注意が必要とされる。今回の7社の経営者たちは、最低限のリスク管理意識を持ち合わせていなかったと言うしかない。 

(了)


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