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未来トレンド分析シリーズ

活性化する水取引市場と中国の水危機を商機ととらえるGE、IBM(1)
未来トレンド分析シリーズ
2009年12月 9日 14:16
国際未来科学研究所代表 浜田和幸

 国連の予測によれば、2025年に世界の水使用量は2000年と比べて30%以上増えるとのこと。言い換えれば、世界人口のほぼ3分の2が水不足に直面することになるわけだ。地球上の人口が凄まじい勢いで増え続ける中で、我々の生命維持に欠かせない水をどう確保すればよいのか。不足する水を新たなビジネスの対象にする動きも加速し始めている。

 2025年には世界の水ビジネス市場は2005年と比べ80%も拡大し、110兆円に達すると見られている。すでにオーストラリアでは水の取引市場が機能し始めてから25年以上がたつ。石油や天然ガス、あるいは穀物や通貨と同じように水という資源が時々の重要と供給のせめぎ合いの中で売り買いされるというメカニズムが誕生しているのである。

 オーストラリアは世界でも最大級の農業国であり、水は農業にとって欠かせない資源に違いない。そのため歴史的に見ても、水の取引市場としては最も古くからビジネスが成り立っているお国柄だ。穀物の栽培や食肉の育成に欠かせない水。その水に様々な思惑を秘めた投資家が群がっている。近年、オーストラリアでは毎年のように干ばつが起こっているため、貴重な水資源に対する売買熱は高まる一方である。

 結果的に水に対する投資はこれまでにない高いリターンをもたらしているようだ。世界を襲う金融危機という嵐の中で、水をターゲットにした投資家たちの「生きるか死ぬか」の激しい投機合戦が展開されているのである。人口が世界的に増え続けており、都市部の人口は特に大量の水を必要とするようになってきた。

 また、気候温暖化の影響を受け農業生産に必要とされる水の需要も高まる一方である。必然的に水の売買、水利権に関する取引といった水市場での取引高も拡大の傾向を強めている。まさに新たな投機の対象として水が注目を集めつつあると言えそうだ。

(つづく)

【浜田 和幸(はまだ かずゆき)略歴】
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 国際未来科学研究所代表。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。

 ベストセラー『ヘッジファンド』(文春新書)、『快人エジソン』(日本経済新聞社)、『たかられる大国・日本』(祥伝社)をはじめ著書多数。最新刊は『ノーベル平和賞の虚構』(宝島社)。近刊には『オバマの仮面を剥ぐ』(光文社)、『食糧争奪戦争』(学研新書)、『石油の支配者』(文春新書)、『ウォーター・マネー:水資源大国・日本の逆襲』(光文社)、『国力会議:保守の底力が日本を一流にする』(祥伝社)、『北京五輪に群がる赤いハゲタカの罠』(祥伝社)、『団塊世代のアンチエイジング:平均寿命150歳時代の到来』(光文社)など。
 なお、『大恐慌以後の世界』(光文社)、『通貨バトルロワイアル』(集英社)、『未来ビジネスを読む』(光文社)は韓国、中国でもベストセラーとなった。『ウォーター・マネー:石油から水へ世界覇権戦争』(光文社)は台湾、中国でも注目を集めた。
 テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍中。「サンデー・スクランブル」「スーパーJチャンネル」「たけしのTVタックル」(テレビ朝日)、「みのもんたの朝ズバ!」(TBS)「とくダネ!」(フジテレビ)「ミヤネ屋」(日本テレビ)など。また、ニッポン放送「テリー伊藤の乗ってけラジオ」、文化放送「竹村健一の世相」や「ラジオパンチ」にも頻繁に登場。山陰放送では毎週、月曜朝9時15分から「浜田和幸の世界情報探検隊」を放送中。
 その他、国連大学ミレニアム・プロジェクト委員、エネルギー問題研究会・研究委員、日本バイオベンチャー推進協会理事兼監査役、日本戦略研究フォーラム政策提言委員、国際情勢研究会座長等を務める。
 また、未来研究の第一人者として、政府機関、経済団体、地方公共団体等の長期ビジョン作りにコンサルタントとして関与している。

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