12月4日に施行された中小企業金融円滑化法(返済猶予法)は個人も対象であり、住宅ローンもその対象となる。民間のシンクタンクが発表した2009年冬のボーナス支給額の予測は、企業収益の大幅な減少を反映して、民間企業で平均約38万円(前年比-8.6%)。失業や収入急減により、住宅ローン返済ができない借り手の急増も予想される。金融機関には借り手の実情に応じた対応が求められる半面、借り手も情報収集や無理のない返済プランの作成などの自衛策を講ずる必要があるだろう。とくにボーナス併用型のローン返済を組んでいる場合、引き落としは翌年1月が多いため、返済猶予を求めるには早めに金融機関への相談・手続きをしておかなければ、新年早々から延滞が始まることになる。
業界団体の不動産競売流通協会(東京)によると、09年度上期(4~9月)に全国で競売にかけられた一戸建て住宅やマンションは、前同期比46.3%増の3万180件にも達する。その内訳は、一戸建ての競売は57.3%増の2万2,286件、マンションは22.3%増の7,894件。事務所・店舗なども含めた全件数は55.2%増の4万880件となっている。
昨年の金融危機の影響が本格化するのはこの冬からとも言われており、ボーナス返済条件変更などの返済猶予が金融機関とまとまらなければ、大量の競売予備軍が発生することは想像に難くない。
肝いりで成立した「返済猶予法」。住宅ローンの延滞・競売に歯止めがかかるかどうか、その真価が問われることになる。
【北山 譲】
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