民主党福岡県連と社民党福岡県連合は、来年夏の参院選福岡選挙区(定数2)で、民主現職の他に新たな無所属統一候補を擁立することを決めていたが、28日、本命と見られる候補者が浮上した。民主党関係者も事実関係を認めている。
第2の候補者として急浮上したのは、北九州市港湾空港局長の伊藤和央氏(50)。伊藤氏は国土交通省港湾局開発課長補佐などを経て、2006年4月に北九州市港湾空港局長に就任した。同氏は、出馬を前提に今月31日で港湾空港局長を退任、1月1日には復職する形の国土交通省も辞職する。
現職の大久保勉参院議員の他に、具体的な与党内候補者の名前が明らかとなったことで、伊藤氏を軸に候補者選考が行われることになりそうだ。民主・社民の選考で同氏が候補者になった場合、民主党が事実上の2議席独占を狙うための切り札は、港湾・空港などの公共事業に影響力を持つ官僚出身者ということになる。
港湾、空港などに関連する土木業界は長く自民党の牙城だった。来年の参院選では、港湾族の大物・泉信也参院議員の引退を受け後継に国交省官僚が出馬予定だったが、民主党の圧力で出馬を断念したという。福岡選挙区で伊藤氏を候補者にすることは、民主党による自民切り崩しの一環とも見られる。
民主・社民両県連による統一候補の公募期限は来月6日。候補者選定にあたっては、現職の大久保氏と支持基盤が重ならないことや、資金計画などを審査するとしているが、伊藤氏は北九州及び建設業界を基盤とすることになる。久留米市出身の大久保議員とは地盤も違うことから有力な候補になることは確実。
伊藤氏が公募に応じるのは、国交省を辞職する来月1日以降になる見込み。