ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

特別取材

[提言・2010年の意識改革①]2010年・環境技術の国際的動向(下)~浜田 和幸 氏
特別取材
2010年1月 2日 08:03

 オバマ大統領は「緑のニューディール政策」を強力に推し進めようとしている。その追い風を受け、今アメリカでは「グリーン・ビルド」と呼ばれる建築基準が急速に普及し始めた。官民一体のグリーン・ビルド協会が設立され、この新しいビジネスの推進役として内外に向けたPR活動に余念がない。環境負荷を軽減させる建築物という着眼点からエネルギー消費の削減やビル内部の環境の改善、再生建築材や自然エネルギーの活用、節水や廃棄物の再利用など、あらゆる工夫を義務付けるものだ。
手始めに政府関連のオフィスビルにはこの新たな基準が強制的に導入されるようになっている。そして、この基準が普及する2025年以降には、「新たに建設される商業ビルのエネルギー消費量はゼロにする」との大胆な計画も打ち出されているほどだ。アメリカではエネルギーの自立とエネルギー安全保障を確保するための法案を次々と成立させている。自動車の燃料消費基準の向上や、バイオ燃料の増産、電化製品や照明器具の省エネ、そしてビルに対する自然エネルギーを生かした省エネの促進などが次々に決められた。
 連邦政府所有のビルに関しては2010年以内に05年の水準と比べ15%、さらに2015年までには30%の省エネ目標が課せられた。新築、あるいは改装されるビルにおいては化石燃料を利用した電力消費量を2010年以内に03年と比べ55%を目標に削減するという。さらに、2030年までには100%削減するとの極めて大胆かつ厳格な省エネ基準を打ち出した。
現在アメリカの商業ビルが消費する電力量は国内の総電力消費量の70%を超えている。地球温暖化対策の目標を達成するためにも、こうしたビルの消費電力をどこまで減らすことができるかが大きな課題となってきた。そのため、既存のビルをグリーン化することにより電力消費を大幅に削減し、温室効果ガスや廃棄物の処理に伴うコストも最大90%まで削減するというのである。このようなグリーン・ビルディングの需要だけでも2010年には3,000億円(約30兆円)を超えるものと期待されている。
温室効果ガスの排出量で世界ナンバーワンになった中国においてもアメリカと同様、2010年中には30兆円近いグリーン・ビルディングの需要が高まるものと見られている。筆者はアメリカのグリーン・ビルド協会の総会に出席した際に確認したのだが、アメリカの関連業界はグリーン・ビルディングを町単位でパッケージ化したグリーン・コミュニティーを中国に売り込もうとし、既に現地で活発に動いているとのことであった。

確かに、オバマ大統領の訪中に際し同行したヒラリー・クリントン国務長官やスティーブン・チュー・エネルギー省長官らは上海や北京の郊外に建設が進む循環型エコタウンの視察に余念がなかった。なぜなら、こうしたプロジェクトはアメリカの大手建設会社や総合電機メーカーが設計段階から深くコミットしているからである。世界規模で広がる異常気象や地球環境の悪化を受け、アメリカでも中国でも様々な環境エネルギー対策が新たなビジネスとして活況を呈している。
今後、BRICsと呼ばれるブラジル、ロシア、インド、中国をはじめとする新興国が経済成長を続けていけば石油や天然ガスは明らかにピークアウトする。そうした事態を先取りし、アメリカでは新たな環境対応の技術として、原子力発電を見直す機運が高まってきた。GEやウエスティングハウスは日本の日立、東芝と原子力ビジネスでは一体化している。アメリカではオバマ政権の後押しを受け、新規原発建設が始まった。発想を変えれば、日本企業は大きなチャンスをものにする可能性が高いのである。
また、アメリカでも中国でも水資源不足のもたらす危機的状況が現実のものとなりつつある。そうした中、日本の誇る水の浄化技術や海水の淡水化技術などは最も高く世界に貢献できる技術に他ならない。要は、我々日本人がこれまで培ってきた技術力を世界の喫緊の課題である環境とエネルギー問題解決に役立てる機会の到来といえよう。宝の持ち腐れとならないよう世界の動向を注視し、大胆な売り込み攻勢をかける時だ。

【浜田 和幸(はまだ かずゆき)略歴】
 国際未来科学研究所代表。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。
 ベストセラー『ヘッジファンド』(文春新書)、『快人エジソン』(日本経済新聞社)、『たかられる大国・日本』(祥伝社)をはじめ著書多数。最新刊は『ノーベル平和賞の虚構』(宝島社)。近刊には『オバマの仮面を剥ぐ』(光文社)、『食糧争奪戦争』(学研新書)、『石油の支配者』(文春新書)、『ウォーター・マネー:水資源大国・日本の逆襲』(光文社)、『国力会議:保守の底力が日本を一流にする』(祥伝社)、『北京五輪に群がる赤いハゲタカの罠』(祥伝社)、『団塊世代のアンチエイジング:平均寿命150歳時代の到来』(光文社)など。
 なお、『大恐慌以後の世界』(光文社)、『通貨バトルロワイアル』(集英社)、『未来ビジネスを読む』(光文社)は韓国、中国でもベストセラーとなった。『ウォーター・マネー:石油から水へ世界覇権戦争』(光文社)は台湾、中国でも注目を集めた。
 テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍中。「サンデー・スクランブル」「スーパーJチャンネル」「たけしのTVタックル」(テレビ朝日)、「みのもんたの朝ズバ!」(TBS)「とくダネ!」(フジテレビ)「ミヤネ屋」(日本テレビ)など。また、ニッポン放送「テリー伊藤の乗ってけラジオ」、文化放送「竹村健一の世相」や「ラジオパンチ」にも頻繁に登場。山陰放送では毎週、月曜朝9時15分から「浜田和幸の世界情報探検隊」を放送中。
 その他、国連大学ミレニアム・プロジェクト委員、エネルギー問題研究会・研究委員、日本バイオベンチャー推進協会理事兼監査役、日本戦略研究フォーラム政策提言委員、国際情勢研究会座長等を務める。
 また、未来研究の第一人者として、政府機関、経済団体、地方公共団体等の長期ビジョン作りにコンサルタントとして関与している。


※記事へのご意見はこちら

特別取材一覧
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル