2009年8月、政権交代が実現し、永田町や霞ヶ関が大きく変わり始めた。小沢民主党幹事長に権力が集中する一方、予算編成時の陳情風景が様変わりし、予算の組み替えも行われた。子ども手当や農家への戸別所得補償など、民主党マニフェストの一部が実現しそうだが、そのために膨れ上がった国家予算は、国債発行額が税収を上回るといういびつなものになっている。財政再建への道筋を示すという重要なテーマについても、民主党政権の真価が問われることになりそうだ。そうした中、地方自治体のあり方に注目が集まる。
国の政治や行政が変わるとなれば、地方自治体にも変化が求められることになる。昨年、政権交代直後に、大型公共事業の継続を求めて集団陳情を計画した福岡県内の五つの自治体首長に対し、民主党代議士が待ったをかけた。福岡7区を地盤とする野田国義衆院議員である。野田議員は、自ら自治体を訪れ首長の話を聞くという手段に打って出たのだ。
同選挙区内の大牟田、柳川、みやま、八女、筑後の市長らは、地元選出の古賀誠自民党衆院議員には予定通り上京して陳情を行ったが、野田議員とは地元福岡での会談となった。
野田議員の「こちらから出向いて話を聞けば、市長さんたちがわざわざ上京して公費を使うことも少なくなる」という理由には説得力がある。民主党政権下で、「自民党に予算陳情を行ってもムダ」との声さえ上がり始めている現実も見逃せない。地方地自体のトップにも変化が求められているのである。
昨年末、福岡県では副知事辞任という異常事態が起きた。県町村会をめぐる「接待疑惑」で引責した形だが、接待を受けていたのは副知事だけではない。町村会参事の、公金による放蕩ぶりも明らかになりつつある。公務員に、税金に対する責任意識が欠如している証左であろう。
福岡市に至っては、市役所前広場に人工芝を敷設するという実験のために8,000万円以上の公金を充てていたことが明らかとなった。そのうち約半分は、人工芝敷設という結論を導くための民間への業務委託にかかった金額である。役人は何をやっていたのだろう?
公務員が、公務員としての責務を果たさなくなっているのではないか?そうした疑問を抱かせる出来事ばかりだ。公務員の意識を高めるトップリーダーの登場が望まれる。
今年は参院選、福岡市長選と大型選挙が続く。政治が行政をどう正していくのか、候補者たちの話もじっくりと聞いていきたい。
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