08年10月、九州地方整備局(以下、九地整)が発注し、福岡市漁協側が「稚魚が死ぬ」との理由で工事をストップさせた「博多湾(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)」。工事再開の切り札となったのは昨年末に報じた「博多港浮泥除去工事」(昨年9月・九地整発注)だった。
入札に参加したのは1社のみ。前述の「博多湾(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)」の入札で「ドボン」、つまり最低入札価格に届かず、事実上の失格となった企業である。1社応札である以上、もちろん同企業が落札している。総合評価も何もあったものではない。応札しようにも、福岡市内で「浮泥除去」という分野の工事を受注できるのは同企業しかなかったという話もある。
この企業は福岡市中央区に本社を置く地場マリコンで、市漁協とは極めて関係が深い。漁協を動かす力を有していることも広く知られており、福岡市の港湾事業には絶大な影響力を発揮してきたとされる。福岡市内の港湾事業を受注する大手マリコンでさえ、一目置かざるを得なかった企業なのだ。
港湾関係者の話や、同企業の実質的オーナーへの直接取材から総合すると、問題の浚渫工事について、漁協と同企業が歩調を合わせていたと言わざるを得ない。漁協の力で公共事業が歪められることは許されない。
明日から、浮泥除去工事を通じて港湾事業の実態に迫る。
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