昨年末、吉田宏福岡市長は、副市長らともに民主党福岡市議団とゴルフに興じたという。06年の当選直後からぎくしゃくしていた市長と市議団との間だが、ここにきて急速に関係修復が進む。もちろん背景には、昨年8月の総選挙で民主党が大勝し、政権交代が実現したことがある。
民主党推薦で初当選しながら、その後は財界や自民党に接近し、民主党福岡県連と「冷たい関係」(県連幹部)にあった吉田市長。総選挙では「どの政党も応援しない」として洞ヶ峠を決め込んだが、鳩山政権誕生で方向転換をかけたものと見られる。
今年秋の市長選挙、民主市議団は吉田推薦で走る模様だが、マニフェストを重視する党の方針と吉田市政の3年間が合致しないことは衆目の一致するところだ。民主推薦がすんなり決まるとは思えない。こども病院人工島移転の強行で市民の反発を受け、自らのマニフェストも平気で反故にする吉田氏を推薦すれば、福岡都市圏の民主党候補は、来年春の統一地方選挙で壊滅的打撃を受けるとの指摘もある。あながち間違いとは言い切れないほど、吉田市長の不人気は定着している。
民主党県議団や国会議員団からは、「吉田ではダメ」といった厳しい声が聞こえてくる。民主党福岡県連の新会長との会食を目論むなど、二期目への布石を打つことに懸命な吉田市長だが、いかんせん反発が根強い。「市議団だけで選挙をやればいい」と、突き放した意見もあるほどだ。
民主党県連内部で進められているはずの吉田市長のマニフェスト検証については、途中経過さえ公表されていない。すでに市民から「落第点」(県連幹部)が突きつけられている現状では、公表しようにも「反発が恐ろしくてできない」(同)状態だろう。下手に庇うと民主党自体が傷つくことになるからだ。
夏の参院選直後から一気に市長選モードに突入することだけは間違いない。
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