4日、日本航空と全日空が、一部機内での新聞配布とフリーダイヤルによる一般予約電話サービスを打ち切った。
新聞配布の中止は、日航が国内線のクラスJと普通席、国際線エコノミークラス、全日空が国内線一般席と国際線エコノミークラスがそれぞれ対象となった。
またフリーダイヤルの廃止は販売経費削減の一環と見られ、昨年12月には旅行代理店の国内線手数料を、今年4月発券分から半額以下とする方針も打ち出している。今後は各社とも航空券の販売方法をウェブサイト経由に集中していく見通し。
各サービスの打ち切りは昨年7月31日に全日空が打ち出し、11月13日に日航が、12月21日にはスカイネットアジア航空がこれに追随した。全日空の広報室によると、新聞の配布サービス中止だけでも年間で3億6,000万円前後の経費削減になるという。いわゆる三大紙の1カ月分のセット版購読料(3,925円/月)に単純換算すると、全日空だけでも1日約7,600部が「消滅」することになる。
新聞業界の苦境が言われて久しいが、果たして今回のサービス中止が追い討ちとなるのか、あるいは、空港売店での即売向上の「呼び水」となるのか。新聞業界に通じた関係者は、「日航やスカイネットは純然たる経費削減策だが、先陣を切った全日空は、国際線などに採用されているパソコン用のシート電源を、今後国内線にも徐々に導入していく方針だと聞いている。当面の間は、空港売店の部数増は多少なりとも見込めるが、シート電源の普及が本格的に進むようなことになれば、売店の販売部数は目に見えて減るだろう」と予測する。
四面楚歌どころか八方塞の様相を呈してきた新聞業界。ポータルサイトのニュースサービスによって「記事・情報のコモディティ化」ともいえる状況が進むなか、オールドメディア+オールドビジネスモデルの代表選手である新聞の悪戦苦闘は、依然続きそうである。
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