08年10月、国土交通省九州地方整備局(以下、九地整)が発注した「博多湾(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)」は、福岡市漁協によって工事が止められた。再開の代償には、「試験的に」(九地整、博多港湾・空港整備事務所所長の話)行われることになった新たな事業が充てられた。昨年9月に九地整が発注した「博多港浮泥除去工事」である。
特記仕様書によれば、同工事は『博多港内の海域環境及び浚渫土砂の有効活用のため、浮泥除去の試験施工を行い、効果の検証を行うものである』とされる。漁協側が、前述の浚渫工事を止めた理由とされる「タコやアナゴの稚魚」を死に至らしめる『浮泥』の除去を目的としているのだ。『効果の検証』と記されているように、博多湾内で浮泥除去工事を試みるのは初めてとされ、どこまで効果があるのかは分からないという。「博多港湾・空港整備事務所」の所長も、試験的に行う工事であることを明言している。浚渫工事を止めた、福岡市漁協の関係者で構成される「博多湾漁業権管理委員会」の会長も、浮泥除去工事の効果が未知数であり、同工事にはぜひ立ち会ってみたいと述べている。
「博多港湾・空港整備事務所」の所長は、同工事が浚渫工事再開の代償ではないと説明しているが、福岡市漁協の組合長はデータマックスの取材に対し、工事再開の条件として九地整側と約束したのは1.覆砂 2.漁礁 3.シルト対策だった、と話している。シルトとは浮泥のことであり、博多湾内の浮泥除去が工事再開の条件になったことは明白である。
問題は、浮泥除去工事を受注したのが市漁協と極めて関係の深い地場マリコンだったということなのだ。福岡市中央区に本社を置く「博多港管理株式会社」は、地場マリコンの代表格である。特に漁協との関係は密接。大手マリコンでさえ、同社と漁協の関係に注意を払ってきたとされる。
同社と漁協の関係を示す事実が存在する。
(つづく)
※記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら