食品スーパーチェーンの09年度中間決算は、大半の企業が減収減益となった。デフレや価格競争に加え、収入減による買い控え、新型インフルエンザの影響など理由はいろいろある。しかし、四の五の言ってはいられない。厳しいなかでも売場や接客を見直し、価値ある商品やサービスが提供できれば、きっと活路は開ける。例年になく寒波が厳しいこの冬、自宅で過ごすことが多い消費者の「巣ごもり」消費を味方につける対策を考えてみる。
巣ごもり消費に応えるにはまず、お客の買い物のパターンを熟知しなければならない。売上げが下がっているスーパーほど、これが意外にできていないものだ。寒波が厳しいこの冬における、お客の買い物行動は以下のようなことが考えられる。
まず、新型インフルエンザによる来店控えである。厚生労働省は昨年12月18日、国内では「いったん流行のピークを過ぎつつある」との見解を示した。
しかし、高齢者ほど重症化率や死亡率が高くなっており、成人への感染の心配が払拭されたわけではない。それゆえ、中高年を中心に来店客数の減少が考えられる。
当然それらのお客が、自宅にいながらにして買い物できるインターネット通販に移る可能性は高い。とくに家族向けのオードブルや鉢盛りといった宴会需要、ワインや地酒などの酒類は、インターネットショッピングの格好の商材となる。
「ゆめショップ」をもつイズミのように、インフラを整備している企業はチャンスだろうし、もっていない企業は近隣店舗の動向をチェックしておかなければならない。
一方、物価下落、デフレが続くなかでも、砂糖や豆類など冬場の料理に欠かせない食材など、原材料コストは値上がりしている。コスト上昇は利益率を直撃するので、十分に考慮しておかなければならない。
<お客の買い物予測を立てた品揃え>
年明けから九州にも寒波が襲い、仕事始め以降も消費者が外出を控えると、それが売上げに影響することは否めない。衣料品ならば冬物の消化に貢献するが、食料品ともなると買いだめすることが考えられるので、販売の仕掛けが必要となる。
例年、1月はさっぱりとした料理が好まれる傾向が強いが、インフルエンザも予想されるので、栄養価の高い食品が求められることはいうまでもない。
長期保存が利くインスタント麺(うどん、そばなど)、カレーやシチューなどのレトルト食品は定番だが、里芋やいんげん、ほうれん草などの冷凍食品も重宝がられる。
もちろん、冬のメインディッシュである鍋料理の食材には冷凍のカニやホタテ、女性向けにはコラーゲンたっぷりの煮豚なども不可欠。ただ、ここ数年、ボイルしたタラバガニが減少し、価格高騰が続いている。そこでこの冬はぜひとも「アブラガ二」に挑戦してはどうだろう。
北海道観光地の青空市や通販では、たまにタラバガニ偽装の問題も発覚しているが、ここは堂々とアブラガニと銘打って勝負に出るもの手だ。タラバガニよりも3割程度安いし、味の点でもやや劣る程度。消費者のなかには指名買いも増えている。
ただ、消費者の巣ごもりニーズ、ムダなものは買わないことと考えると、日配品は食べきりサイズの価格(量)、在庫点数など品揃え計画を十分に練ることである。
【釼 英雄】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら