福岡県内の生コンクリート製造会社代表のひとりは、「毎年のことではあるが、とくに今年は生コン業界にとって勝負の年。出荷量が今後さらに減っていくのはどうしようもない。経営合理化、工場の集約化を前向きにやっていくしか方法はない」と語る。生コンの出荷量は、福岡地区協組で100万m3、全国では1億㎥どころか9,000万m3のラインすらショートする可能性が高い。今後もこの減少傾向に拍車がかかってくるであろう。
どの生コン関係者も、経営合理化・工場集約化をするしかないということは周知している(アウトサイダーは除く)。「多少どんぶり勘定であったとしても、各工場の経営者は、自社の経営が今の出荷量で成り立つかどうかぐらいはわかる。みんな、もう現状の経営では限界に近づいていることも分かっている。だが“自分の工場を引き払います”と簡単に譲歩することもできない。理論の問題よりも、精神的な問題で集約化が進まないのは紛れもない事実。組合のリーダーがトップダウンで半ば強制的に断行できるものでもない。地道にやるしかない」と語るのは、九州南部地区生コン工場の経営者。まさに“五里霧中”である(経営合理化・集約化については、今月後半からその意義や有効性について詳細に述べていきたい)。
ただ、このままの状況が続けば、意図的な工場の集約化ではなく、資金繰りが逼迫して工場をたたんでしまう、「自然淘汰」、「破綻」という集約化は増加する。あるいは、「もう組合に縛られることが限界」と協組を脱退して、自主営業・販売活動=アウトサイダーになる工場が増えるという懸念もある。全国各地どの地区も、大なり小なりアウトサイダーの問題は抱えている。組合の決まりごとや価格にコントロールされることなく、自社努力により事業を形成し経営するアウトサイダーは、価格面での差別化がなされているため、ある意味強い。営業力に自信があれば健全経営が成り立つ。実際、月間出荷量5,000~6,000m3をアベレージでカウントしているアウトサイダーはいくらでもある。組合員は戦々恐々であろう。
「今さら言っても始まらないが、まだ各工場とも体力があった5~6年ぐらい前から危機感を持って組合員一丸で取り組んでおれば、もう少し状況は違っただろう。全てとは言わないが、のんびり構えていた“つけ”が各工場にまわってきている」(福岡地区生コン関係者)
【河原 清明】
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