今年11月に予定される福岡市長選挙で最も注目されるのは、最大会派・自民党市議団が候補者を擁立できるか否かである。
同市議団は昨年、市長選の選考委員会を立ち上げた。5人の市議が市長選に向けて対応を協議して行くという。ただし、昨年8月の総選挙の結果、政権交代が実現。自民党が下野した状況が重くのしかかる。さらに、市議団内部で意中の候補が分かれていることも不安要因となっている。
市長選候補者として、植木とみ子元教育長(現・福岡市総合図書館館長)や現職県議らの名前が浮上しているが、決め手を欠いている。吉田宏現市長に相乗りできるかというと、民主推薦で初当選を果たした人物に相乗りすれば自殺行為との声も少なくない。他にも複数の名前が取りざたされているが、方向性が収斂されるまでには時間がかかりそうだ。
しかし、ある自民党関係者は、自民党市議団が吉田市長を認めることはない、と断言したうえで、「民主党が、再度吉田市長を推薦した段階で勝機が生まれる。願わくば吉田さんで来て欲しい。こちらは参院選前後から一気に行く」と語る。福岡の経済人による吉田市長の支援組織作りも計画されているというが、別の自民党関係者は「財界に選挙を左右する力などない。山崎さん(広太郎・前市長)の時も財界の支援組織が設立されたが、結局は(選挙は)敗れた。昔と違って主役は市民。吉田さんが民主の推薦や財界応援団に頼れば、『自民党と同じ』と見られる。やってくれた方がいい」と突き放す。
候補者選びは水面下で進められているとも言われ、自民党の与党返り咲き戦略は周到を極めると見られる。「公約違反」のレッテルを貼られた現職市長に救いの手を差し伸べるほど、自民党は落ちぶれていないということらしい。奮起を期待したい。
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