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特別取材

この冬は、巣ごもり消費を味方につける(2)~値下げせずに売り切る方法を考える
特別取材
2010年1月 9日 08:00

 食品スーパーにとって年明けの商戦は、年末の商戦の反動で売上げが減少する時期である。しかし実際に売場を見てみると、年末商戦の売れ残り在庫を処分するなど、販売戦略が後手に回っている傾向も強い。
前年のデータをもとに売れた商材をチェックする
 バイヤーは前年のデータをもとに、10月ぐらいから年末年始の計画を立てていると思うが、この冬はデータ通りにはいかないと思われる。年末年始の売上げが芳しくなかったら、通常の冬場商品にも力を入れるべきである。
 この冬のような巣ごもり消費を逃さないためは、「催事資料(イベントファイル)」を活用することだ。これには販売した商材が記録され、反省点などが資料化されているし、その日の天候や気温なども記されているはずだから十分に活用できる。
 POSデータでは前年の発注や実績はわかるが、どんな商品が売り切れ、どんな商品が不足したかについては、資料を読み返さないとわからない。そこでこうした資料を活用し、年明け以降や気温が低い日にどんな商材が売り切れたかを確認するのある。
 たとえば西友は、クリスマス用の発泡系ワインが12月25日に売れ残ったとしても、バレンタインデーなどの「ハレの日」の需要を考え、正価で売れ行きを見ている。もし売れ残っても、他店でニーズがあれば店間移動で売り切ることが十分にできるというわけだ。
 巣ごもりという細かなニーズに対応すれば、値下げせずに必ず売り切れるのである。

<店長とスタッフの円滑なコミュニケーション>

 年末年始は1年で最も忙しい時期で、十分なスタッフ配置がなされる。しかし年が明けた途端に急に閑散期に入るため、店長はそれを予測した人員計画を立てなければならない。とくに巣ごもり消費では売上げに限界があるから、効率的な人時態勢が不可欠だ。巣ごもり消費では効率的な人時態勢が不可欠
 その場合、単に各部門スタッフに人時を任せっ放しではダメ。たとえば、総菜の品出しなら食品のパートや手隙のレジスタッフで十分だろう。製造作業には専門のパートスタッフを割き、品出しや陳列には他で対応するといった運営を心がけることが重要である。
 ハローデイは店長の下に店長代理を置いているが、単なる管理職予備軍ではない。生鮮を除く日配品や総菜部門のチーフも兼務し、巻寿司や揚げ物などの製造もひと通りこなせないと昇格試験の要件を満たさないという。
 つまり、店長代理は年末年始のような繁忙期には、スタッフワークもこなすユーティリティプレイヤーになる、ということである。もちろん、店長代理がスタッフとのアイコンタクトでスムーズに応援に入れるのは、日頃から各部門とのミーティングが密に行なわれているからである。逆に閑散期は、店長と同じデスクワークや発注業務もできるのだ。
 店長や店長代理はスタッフと円滑なコミュニケーションをとることによって、巣ごもり消費に対応できる店舗運営が可能になるのである。

(つづく)

【釼 英雄】


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