8日、公金詐欺事件を起こした上、県幹部などへの接待を繰り返していたとされる「福岡県町村会」(山本文男添田町長)が、事件後初の理事会を開いた。
同日午後2時30分からの会議は、監査の在り方などについて質問が出た程度で、揉めることもなく、時には笑いが漏れるという弛緩したもの。県内の町村長ら10名余りで構成される理事会は、白熱した議論もなく1時間半で終わってしまった。県民の税金を原資とする公金が詐取されたにもかかわらず、危機感ゼロである。同会事務局は、詳細については25日に他の町村長らに改めて報告するとしているが、県民への説明については一言も触れられなかった。
そもそも、疑惑の舞台となっているのは町村会だけではなく「福岡県市町村振興協会」など、政令市を除く各市町村で構成される団体だ。人口にして300万人余りに関わる公金が騙し取られ、遊興に費消されていたというのに、県内の首長たちはなぜ怒りの声を上げないのだろう。
本来なら疑惑が報じられた昨年の段階で、各自治体の首長が住民を代表して町村会や振興協会をはじめ公費で運営されている県関連団体についての会計帳簿や物品台帳などの開示を求めるべきだった。しかし、今日まで県内の首長からは何の声も聞こえてこない。積極的に疑惑を追及し、公金の在り方について発信する市町村長は皆無だったことになる。これでは地方自治の確立など望むべくもない。
町村会などの団体は、県民のために存在するものだ。だからこそ「公費」の使用を許されている。会計処理に不正が見つかった場合は、速やかに事実関係を調べ、主人公である県民に情報を公開するのが筋である。それを怠ったばかりか、肝心の理事会では毅然とした態度で管理責任を追及する首長さえいない。
異常としか思えないのは、同会職員などの山本会長に対する気の遣いようだ。町村会長がどれほど偉いのか知らないが、まるで腫れ物に触るかのような態度で同会長をガードし、取材の記者らを遠ざけようとする。現状を見る限り、町村会の主は山本氏であり、県民不在と言うほかない。山本会長自身も取材に対し、きちんと答える姿勢がない。20年近く県町村会の会長を務めているというが、長期政権の弊害は顕著と見た。事件の最終責任はトップである山本会長にあるのは言うまでもない。
物言わぬ町村長に、県民無視の山本会長。福岡県町村会に残された道は「解散」以外にないと断言しておきたい。
【中願寺】
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