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2010年 存亡を賭けた生コンクリート業界(5)
清明がほえる
2010年1月12日 17:09

 協同組合は、「相互扶助の精神」をもとに経済活動がなされている。我が国の生コンクリート業界も、その代表的なモデルの一つであると言えよう。適正な商活動の範囲で共同経済活動が認められ、独占禁止法適用の一部免除による販売・仕入、そして価格決定が保護されている。シェア割当や赤黒調整金など、各社・各工場公正に数量を分配されており、「従来はのんびりとした雰囲気の理事会で、各工場の経営者は息抜きに来ている感覚だった」(生コン協同組合関係者)という。
 だが今日、すでにそのような雰囲気はもうない。どの都道府県各地区の生コン工場経営者にとっても、極論すれば「明日のことは分からない」状況が、とくに昨年来から日々続いているのである。
 それはなぜか。全国の生コン出荷数量が1990年度(1億9,799万㎥)の約50%までに減少して(09年度は1億㎥をショート)いるにもかかわらず、総じて業界の決め事に依存している。少々の生コンの出荷量減少なら「大丈夫、大丈夫」という安閑とした空気のなかでも成り立ってきたが、もはやそれが許されない事態になっているのだ。出荷減少での製造効率の悪化、固定費比率の増加によるコスト増や毎年上昇する材料(セメント・砂・混和材など)による各工場の利益の激減。「相互扶助の精神」である協同組合員でも、各社各工場は営利団体である。適正な利益を出して健全経営を実践しなければ淘汰される。
 だが、「生コン工場は潰れない」という過去の神話にとらわれ、相互扶助依存により危機に備えたマネジメントへの取り組みが大幅に遅れたことは否めないであろう。
 この崩壊的な市況下を予想して、数年前からリスクに備えたマネジメントを実施しなければならないと提言し続けている生コン経営者も少なからず存在する。だが、各社各工場の経営形態は千差万別。一代で築いたオーナーとその後継者。複数の工場を所有する企業と一工場のみの企業。多業種を所有する生コン企業と生コン製造のみの企業など、各社各工場ともに事情は煩雑である。
 「工場を各地区に所有している企業が、経営合理化を実施することはそれほど難儀ではない。だが、1工場しか持たない企業はそうはいかない。複数の工場を運営する企業と単体の企業との『気持ち』の差は、限りなく大きいことは確か」(福岡地区の生コン工場関係者)という言葉が、存亡を賭けた1年となる生コン業界の健全化に向け、一致団結して取り組むためには、さまざまなハードルをクリアしなければならないということを浮き彫りにしている。ただ、工場を複数抱える企業は企業で、苦境に立たされていることも事実である。

(つづく)

【河原 清明】


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