(財)日本健康・栄養食品協会(東京都新宿区、林裕造理事長)は1月8日、東京都内のホテルで新春賀詞交歓会を開催し、約400名の関係者が参集した。
同協会会長で参議院副議長の山東昭子氏は、冒頭の挨拶で健康食品のあり方に言及し、「完璧な見地から安全性と有効性を確立し、消費者のみなさんにアピールしていかなければならない(新たな)時代に入った」とし、そのために大きな改革を進める必要性があることを強調。また、「大きな福祉国家を建設するにあたり、健食業界が大きな一翼を担っているという自負心を持ちながら事にあたらなければならない」と、業界団体がそれぞれの既得権益にしがみついてきた過去に釘を刺すとともに、業界各団体の一致結束を呼びかけた。
続いて挨拶に立った厚生労働省医薬食品局食品安全部長の石塚正敏氏は、消費者庁で進められている表示制度検討会について、「玉石混交といわざるをえない健康食品を、いいものと好ましくないものとに分ける基準のひとつが特定保健用食品制度の仕組み」であると改めて確認したうえで、制度の見直しによって消費者の選択の余地が狭まることに対して懸念を表明した。
同協会の林裕造理事長は、昨年来、健康食品業界をめぐる厳しい状態は依然として続いているとしながらも、「業界がこの問題の解決と市場回復を目指して着実に歩まなければならない道が示された1年だった」と2009年を振り返った。また今年を、「希望を実現に導く年だ」とし、「行政と業界、消費者の間に立って実効性のある事業を展開していく」と決意を述べた。
一時は1,000人近い参加者が駆けつけたともいわれる同賀詞交歓会。今年は寂しい幕開けとなったことが、健康食品業界の置かれた厳しい現実を象徴しているようにも感じられる。参加者からも今後の行政の動向について、「まったくわからない」(東京の大手原料メーカー)、「つかみどころがない」(東京の受託製造メーカー)と不透明な行政の動きに批判的な声が多かった。一方で、「業績には今のところ影響していない」という販売メーカーの声や、「エコナの問題はまったく影響していない」とする大手の特定保健用食品販売メーカーの声もあった。
業界に一定の影響力を持つある識者は、昨年来の健康食品に対する行政による一連の健康食品規制の動きに対し、「消費者をなおざりにしてきた業界の影響が大きいだろう」と指摘。今後の業界の団結に対しても、「(業界の)生死にかかわる問題が起これば可能かもしれないが、現状では難しいだろう」と否定的な見方を示した。
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