08年10月、九州地方整備局(以下、九地整)が発注した「博多湾(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)」は、福岡市漁協の関係者で構成される「博多湾漁業権管理委員会」によって工事が止められた。その理由は、浚渫工事によって拡散する『浮泥』によって「タコやアナゴの稚魚が死ぬ」というものだった。その経過は、九地整に公文書として残されていた漁協側との交渉記録からも明らかとなっている。
同管理委員会の委員長は、福岡市漁協箱崎支所の運営委員会会長(漁協合併前の呼称は組合長)である。公証記録によると、管理委員会側は「博多湾(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)」の施工業者が決まったその日に、「話がある」として九地整を呼び出しており、即日、工事中止を申し渡していた。
先週、管理委員会の委員長が、地場マリコン「博多港管理株式会社」(福岡市中央区)の子会社「コンドー」の取締役であることを報じた。さらに、福岡市漁協の組合長の身内も「コンドー」の取締役であることが判明している。つまり、九地整の仕事をもらう業者側に、工事を止める力を持った漁協関係者が存在していることになる。港湾関連の公共事業で、関係企業に便宜を図るよう指示できる立場ということになる。止められた浚渫工事について、工事再開への見返りを要求した可能性は否定できなくなる。人的関係を見る限り、地場マリコンと漁協による『癒着』との声が上がるのは当然だろう。
博多港管理と漁協をめぐる話についてさらに取材を進めると、様々な証言、事実が浮かび上がってきた。
(つづく)
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