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特別取材

日本航空再建なるか前途多難 民間金融機関の支援が鍵を握る(上)
特別取材
2010年1月13日 15:06

 昨年来、動向が注目されている(株)日本航空であるが、ここに来て会社更生法により再建を図ることとなった。国内線・国際線合わせて、年間約5,800万人がJALグループ航空各社を利用しており、あまりにも社会的影響は大きく、政府を巻き込んだ再建が検討されている。同社の業績不振はどこに原因があったのか、検証してみた。

代 表:西松 遙
所在地:東京都品川区東品川2-4-11
設 立:2002年10月
資本金:2,510億円
従業員数:(連結)47,970人
売上高:(09/3連結)1兆9,511億5,800万円
当期利益:(同上)▲631億9,400万円

<日本エアシステムとの合併は業績悪化要因>

 2002年の、日本エアシステムとの経営統合とそれに続く吸収合併によって、国内線網の強化や余剰資産の売却などの合併効果による収益基盤の強化が見込まれた。
 しかしながら、合併以降の元日本航空と元日本エアシステムの社員間の対立による、サービス上の混乱、航空機の整備不良、反会社側組合による社内事情のリークなど相次ぐ不祥事に伴う客離れ、吸収合併した日本エアシステムの高コスト、低効率体制をも、経営統合後もそのまま維持継続したのである。
 また、2003年2月に発生したイラク戦争以降の航空燃料の高騰、SARS渦などのマイナス要因が重なり、急速に業績悪化を招いたのである。

<企業年金の減額交渉は成立したが>

 1月12日、日航は、現役社員1万5,700人や退職者8,900人との企業年金の減額交渉を進めていたが、現役社員についてはすでに4日までに3分の2以上の賛同を取り付け、退職者についても67%の同意を得られた模様である。同社は、今月下旬に厚生労働省に年金制度改定を申請し、3月下旬に認可を得る見通しである。当然、給付利率は4.5%から1.5%程度に下がり、給付額も退職者で平均3割減、現役社員については同5割減となる見込みである。  ただし、基金を維持すると減額後でも積み立て不足約1,000億円が残ることとなり、負担方法について企業再生支援機構は再検討するとしている。  最終的には、公的資金所謂国民の税金が使用されることは必至と言われており、反発を招くことは言うまでもない。

<21年3月期財務・収支共に悪化の一途、キャッシュ・フローの状況>

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純損失590億円に減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務の加減算等を行なった結果、営業活動によるキャッシュ・フローは(インフロー)317億円となっている。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

主に航空機・部品等の取得および導入予定機材の前払金支払いによる支出を行なったことから、投資活動によるキャッシュ・フロー(アウトフロー)は▲1,056億円となっている。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

社債償還による支出と長期借入金の返済による支出を合わせ、財務活動によるキャッシュ・フロー(アウトフロー)は▲1,167億円となっている。

<22年3月期第2四半期キャッシュ・フローの状況>

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前四半期純損失1,255億円に減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務の加減算等を行なった結果、営業活動によるキャッシュ・フロー(アウトフロー)は▲398億円となっている。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
航空機・部品等の取得および導入予定機材の前払金支払による支出を行なったことを主因に、投資活動によるキャッシュ・フロー(アウトフロー)は▲619億円となっている。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
長期借入金の返済および社債の償還による支出があった一方、長期借入れによる収入があったことから、財務活動によるキャッシュ・フロー(インフロー)は351億円となっている。

(つづく)

【久米 一郎】


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