昨年からの不況が一層深刻なるという見方もあり、2010年の個人消費は今のところ好転する兆しはうかがえそうもない。所得が減っている消費者は、外出せずに自宅で過ごすか、あるいはデフレを積極活用するか――いずれにしても、今後巣ごもり消費は確実に増えると思われる。09年の年末商戦を取材した結果から推測すると、不必要なものは買わないという傾向は今後も続くだろう。
消費者が買い控えをするということを考えれば、1人前の適量で買いやすい価格帯の食材がカギになるのはいうまでもない。ニンジンやタマネギは1本・1個のバラ売り、白菜やキャベツは半分か4分の1のカット売りのニーズの方が強いはずである。
最近のみかんは糖度重視であまり日持ちしなくなっているようだが、これをネット入りで売ってしまうと、食べきれずに傷んでしまう。激安八百屋のなかには、1個5円ほどでバラ売りし、飛ぶように売れているところもある。
食品スーパーでは仕入れの関係で難しいかもしれないが、週に1度の売り出しでは野菜や果物のバラ売りを導入してもいいのではないだろうか。ダイエーなどもやってはいるが、どうも客単価がとれないことが先にあるようで、積極的ではない。
客単価が下がっているなら、消費者に何度も店舗に足を運んでもらえばいいのである。
<企画提案の手応えは通年のイベントにも応用>
従来、「ハレの日」向けのオードブルは揚げ物やサラダが定番だったが、料理研究家のブログなどを参考にした各種料理を盛り合わせたものも増えてきている。いろいろな総菜を買わずに済み、少人数の家族にとっては一つの皿で済ませられることが人気の理由だ。
こうした傾向は今後も続くであろうから、さまざまな「ハレの日」に合わせてメニューの研究を進めておくべきである。1年を通じていろいろなイベントで仕掛けていけば、新たな巣ごもりニーズを引き出せるかもしれない。
最後に各企業、各店舗によって新しい独自提案も必要である。その場合もポイントはまず、冬場は「買いだめ」することから保存が効くもの。そして個人にも家族にも対応できるように、家で簡単に調理できるものである。
保存が効くものとして、チルド系商材ではグラタンやドリアなど。ご飯は真空パック入りがあるが、総菜や野菜の冷凍食品はあまり大量ではないものがポイントだ。鍋料理は基本的に1回食べきりになるが、 シチューやカレーは残っても冷凍保存できるので、需要はコンスタントにあり食材は欠品できない。
巣ごもり消費は何もこの冬だけのものではない。今回の企画提案で手応えをつかむことができたら、バレンタインデーやひな祭り、端午の節句、誕生パーティなど通年のイベントにも大いに応用ができるはずである。
【釼 英雄】
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