「博多港(須崎ふ頭地区)泊地(マイナス12m)浚渫工事(第2次)」の入札には3社、1企業体が応札した。5億540万円の予定価格に対し、調査基準価格(最低入札価格)は4億2,553万1,000円である。
しかし、九州地方整備局発注工事の入札は総合評価方式であり、調査基準価格などの数字は事前公表されていない。ぎりぎりの価格で落札を狙い、調査基準価格を下回った場合、業界で言う「ドボン」となる。正確には、総合評価方式による入札の場合、「失格」とはならず、技術評価は受けるが加算されるべき点数がバッサリと引かれ、基準の100点だけとなってしまう。事実上、失格と同じである。
落札した「宮川・淺川経常建設共同企業体」の入札金額は4億2,710万円で、「博多港管理」の4億1,700万円より高い。通常なら入札金額の低い「博多港管理」が落札するはずだが、調査基準価格を下回ったため評価点が下がり、「評価値」で宮川建設側が上回ったのである。
そして、この結果が明らかとなった日から、福岡市漁協側が工事中止へと動き出すのだ。
市漁協側で九州地方整備局と交渉にあたった「博多湾漁業権管理委員会」の委員長が、「ドボン」した「博多港管理」の子会社の取締役だったことは報じてきた通り。工事中止の理由が浚渫工事による浮泥で「稚魚が死ぬ」というものではなく、落札企業への不満ではなかったのかという疑問は、さらに大きくなる。
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら