「全く先が見えないね…。新年に入っても、気持ち新たにというより日々の不安の方が強い。このままでは、業界が奈落の底に突き落とされる」と沈痛なコメントをする九州中部地区の生コンクリート製造会社の代表。声は明るいが、その心中はかなり疲弊しているようだ。「今後集約化を進めねばならないが、現在の半分程度の集約では出荷量減少のペースに追いつかない。3分の1くらいには工場を集約しないといけない」。さらに、「建設業界もさることながら、今年は生コン工場の破綻、廃業が相次ぐ。間違いない。私のところにも、福岡・大分など各県の代表者からの“辞めたい、続けられないどうしようか?”という嘆きの言葉や相談事が毎日のように入る」と業界重鎮の言葉。「しかし、そうは言っても生き残るためには集約化しかないのではありませんか?」と記者が質問すると、「もう、各社各工場を説得しても堂々巡り。あまり望ましいことではないが、自然淘汰されることで工場が減っていくことしかないのかもしれない」と、あまりにもショッキングな答えが返ってきた。
出口が全く見えない市況下、万策尽きたような感がある。やはり、今後相当数の生コン工場の破綻が発生する公算が高い。協同組合においても、事実上崩壊して機能不全となる組織が増大してくるであろう。そうなると、生コン市場が無法状態となって価格や品質上に支障をきたすこととなり、負のスパイラルに陥ってしまうことになる。
前述の関係者は、「工場の淘汰が加速し、生き残った企業も自社で踏ん張れる力はそう残っていないだろう。大手メーカーの系列傘下に入り、メーカー主導でやっていく方向に加速するのではないだろうか」とコメント。太平洋、住友大阪、宇部三菱、トクヤマ。我が国のセメント大手の傘下のもとで、業界再編が行なわれる日が刻々と近づいているのかもしれない。実際に、その動きが水面下で始まっているということも聞かれる。大激変のなか、生コン業界も抜本的に業界縮図が変わっていく序章であろうか?
【河原 清明】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら