<市民参加のうえでムダを削減>
―財政状況についてはどう思っていますか?
さとう これまでの人口の急増に伴う公共投資という意味では、必ずしもマイナスとは言えません。ただし、人口10万の市の身の丈にあったありようを考えると、これ以上ムダな公共事業をやる余裕はありません。
前選挙の争点になりました、「中央ルート」や「九州大学関連という名目で行なわれている工業団地の造成」など。それには、公共だけではなく民間による開発も含まれてはいますが、全部ひっくるめて「なぜ今、作らなければならないか?」という疑問があります。
歳入と歳出を考えると、歳入が少ないのであれば、いかにムダを省いていくかということが重要です。そのへんを、最初の2年間で徹底的に、市民の方々と一緒になってやっていかなければならないと思っています。
社会経済の状況を考えれば、法人税を上げることもできないわけですし、簡単に民間企業を誘致できるとは思っていません。ただし、糸島の農産物がブランドであるのは間違いない。さらに地域が連動してブランドを高めていくことの経済効果は、時間がかかりますが必ず効いてきます。『糸島ブランド』は、極めて重要な資源です。
例えば、100人雇用する企業を1社誘致するよりも、10人雇用する起業家の方たちが10人来てくれた方が糸島にとっては望ましい。極力、個人ベースの企業を誘致、助成していく方向にシフトしていかなければなりません。そこで、地元農家との連携の円滑化、場所が必要ならばその手配、全国へ『糸島ブランド』として情報発信するなど、行政が何らかの支援を行なうべきです。
―情報公開という点ではどのように考えていますか?
さとう 「事業仕分け」を取り入れます。松本氏は、「今までの市政でもやっていた」と言っていますが、あれは身内のなかだけでやっていた話で、外部の客観的な視点が入っていたわけではない。少なくとも市民や有識者を参加させるかたちで、かつ一般に公開しなければなりません。
―現在、大野城市で行なわれているようなスタイルでしょうか?
さとう そうですね。行政が作った予算案に対して、市民の方も交えたかたちで全部精査する。そして、「市民の目を通したうえでの予算案」として議会にかけなければいけません。情報公開は、行政が最初にやらなければいけない姿勢です。また、名称は決まっていませんが、直接住民投票のスタイルも取り入れていきます。
【文・構成:県政取材班】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら