<「もったいない」をビジョンに反映>
―今までのご意見をまとめると、今までの市政は非常にもったいないことをしている、ということでしょうか?
さとう そうです。支持基盤が何もない私が、なぜ立候補するかと言えば、その「もったいない」という気持ちが強いからなのです。今までの街作りや都市計画の経験を踏まえれば、「これほど可能性があふれる地域を放っておいたらもったいない」と思っています。立候補の理由は、ごくシンプルに考えればそれだけなのです。
―これまでの問題提起を踏まえたうえで、選挙におけるマニフェストがあると思います。まず、「マニフェストの定義」についてお聞かせ下さい。
さとう 行政経験がない私の場合は、民間における実績を踏まえての期待値を込めたものです。その意味では、マニフェストという言葉ではなく「ビジョン」になります。市民の皆さんと一緒にやっていくうえでの市政の構想、方向づけ、といったものです。
―そのなかで、とくに強調したいものは何ですか?
さとう 一番は、「開かれた行政」です。財政状況も1円単位まで明らかにします。情報の開示という点では、私自身が行政の事業の内容を自分のかたちで説明する場を設けます。そして、住民投票や市民の方も参加した事業仕分けを行ないます。
次に、「糸島の自然環境保全」です。厳格な環境条例や景観条例を作成して、市民の共有財産である自然環境を守っていきたいと思います。また、糸島の第一次産業をきっちりとブランドに活かすということにも取り組んでいきます。
また私は、民主党・社民党の推薦をいただいております。よりスムーズに国と一体化した地域の活性化ができると言えます。
<新しいリーダーの役割は「調整役」>
―選挙戦においては、どのように戦っていきますか?
さとう 当然のこととして、これまでの前原市政を検証しなければなりません。約4年間という十分なチャンスを与えられていたのですから。その間、「財政はどうなったか」、「市民の目線に立って的確な判断を下したのか」。そこは当然問われるべきです。
また、松本氏は福岡県庁で何十年も勤めてきた人です。その延長にある行政が、本当に市民が求めている市政になるのか。当然、民間でやってきた私が考える行政とは違います。
私は、民間人として35年間、街作りを専門にやってきました。その私が掲げる糸島の方向性と比較していただいて、「どう違いますか?」、「市民の皆さんはどちらに賭けますか?」というふうに訴えていきたいと思っています。
―「新しい“糸島”に新しい“人(リーダー)”を」という言葉を掲げておられますが、佐藤さんが描くリーダー像についてお聞かせ下さい。
さとう 「みんな俺について来い!」というリーダーではなく、市長とは機能でありプロデューサーであると考えています。「株式会社糸島」を売り出して、従業員である市民の方々を幸せにする。そのためには、最も秀でた「調整役」に徹しなければいけません。二丈、志摩、前原の3つの個性を活かすリーダーが求められていると思っています。
―最後に、選挙戦の展望をお聞かせ下さい。
さとう よく糸島は、「保守的な地域だ」と言われているようですが、私は必ずしもそうは思いません。市民の方々は、必ず賢い選択をされるものだと考えています。地域エゴ的なもの、しがらみ、利権といったものによる政治を保守とするならば、その時代は終わった。そのことを市民の方々が一番感じているのではないかと思っています。
国も地方も借金を抱えている「待ったなし」の現状では、個人のことを一旦置いておいて、地域をどうするかというふうに考えなければなりません。そこには保守かどうかということは関係ありません。私のビジョンに共感していただけるという確信があります。
【文・構成:県政取材班】
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