国会議員を含む新・旧の秘書3人が、土地取引をめぐる政治資金規正法違反の疑いで逮捕された小沢幹事長に対し「戦ってください」と述べた鳩山首相が、17日、発言内容について説明した。政界や世論の反発を受けてのものと思われる。
首相は、同発言について「検察批判や捜査に予断を与えるものではない」とした上で、幹事長を続けるという小沢氏に対し、「潔白だから戦うんだと申されたから『それはどうぞ』。(幹事長として)戦うことを了とする意味」と説明した。
しかし、どう修正しても16日の首相発言は、小沢氏が検察と全面対決することを容認したもの。小沢氏は検察を厳しく批判しており、地検特捜部と徹底的に戦うからこそ幹事長を辞めないと言っているのだ。裏を返せば、小沢氏が幹事長を辞任し、権力の座を降りた場合、極めて弱い立場に立たされることは明らか。検察の力に対し、無役の代議士では立ち向かえない。小沢氏は、権力にすがらざるを得ない状況と言えよう。首相の「戦ってください」という言葉は、検察との対決に直結しているのである。
16日から17日にかけて行われた報道各社の世論調査では、小沢氏に幹事長辞任を求める声が70%前後を占める。内閣支持率も急降下し、不支持率と並ぶ状況だ。小沢氏の姿勢は世論から評価されておらず、同氏を庇う鳩山首相にも厳しい目が向けられている。「戦ってください」が、検察との対決を支持したものか、幹事長続投を容認したものかは問題ではなくなっているのだ。
政権交代には「政治と金」の問題に明け暮れてきた自民党政治との決別の意味もあったはず。しかし、現実に自民党政治が終わったというのに、国民の目の前には、現職首相と最高権力者の金にまつわる疑惑が展開されている。「結局、何も変わらない」。そうした声が聞こえ始めていることを、民主党はしっかりと自覚すべきである。民主党内だけで翼賛政治をやっている場合ではない。きょうから、国民生活に直結する「予算」を審議する国会が開かれるのだから。
【秋月】
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