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清明がほえる

2010年 存亡を賭けた生コンクリート業界(9)~経営合理化の可能性を探る~
清明がほえる
2010年1月19日 08:00

 「工場の集約よりも、まずは協業することを早急に考えて実践することがベストだ」と語るのは、福岡県下の生コンクリート製造会社代表。協業とは『多くの人手または経営が協力して、同時にかつ計画的に同じ生産または関連する生産に従事すること』と、ある辞典に記されている。
 全国生コンクリート工業組合連合会・全国生コンクリート協同組合連合会の綱領の5つあるうちのひとつに“我々は、業界特性に鑑み、個別経営型から組合経営型による産業の合理化と安定化を図るために、相互扶助の精神に基づく組合理念を確立しよう”というくだりがある。その『個別経営から組合経営』にまさにピッタリなのが、各社との協業という経営スタイルであるという。
 協業においては、具体的に何をするのか。「まずは、製造委託を積極的に実施することである」という。当サイトでも何度も述べているように、いきなり工場を閉鎖して取り壊してしまうことばかりが合理化ではない。すぐにでもできることから、ということである。
 ある地区の協同組合内に、3社3工場あるとする。この組合の月間平均出荷量は1,500m3、年間1万8,000m3。赤字の状況に陥っている。仮に、一つの生コン工場の損益モデルとして1社単位1m3当りで販売管理費・製造コスト・品質管理や輸送コストが97%とすると、営業利益は3%。もし、A・B・Cの3社のうち、「A社の工場が、エリア面のロケーション、プラントの耐久性においてもベストだと判断できれば、B・C社の製造をA社に委託する。それによってまず、材料の仕入が一元化と仕入コストを下げることができる。そして、A社に製造委託を行なった結果、月間出荷量は4,500m3になる。4,500m3製造出荷できれば、我が国の生コン工場損益分岐ライン3,000m3をクリアしており、商売として成立する。プラントを一つ稼動休止させて近隣他社に製造を委託させる方式を取れば、3社ともかなり経営が良好になる」という。
 地図を広げ、自社プラントの耐久度及び老朽化の度合いを、客観的かつ冷静にチェックして判断することからスタートしなければならない。少なくとも1社の力ではどうすることもできないことは、生コン工場経営者であれば、皆わかっているのである…


(つづく)

【河原 清明】


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