福岡地区内においては、東区東浜から生コンクリートの材料となる砂が100%近い割合で各工場に運搬される。東浜とその近隣である中央地区には、11工場配置されている。それらの工場に運搬される砂と、南部地区の筑紫野市や大野城市の9工場、西部地区の糸島市・西区・早良区の8工場へ砂が運搬される場合のコストは明らかに違う。よって、出荷量に対して各社各工場の割当(シェア)が決められているものの、利益率には明らかに大きな開きが出てくる。中央地区の工場と南部地区の工場との1m3あたりの利益率を比較すると、当然、中央地区の工場が利益率は高い。東浜から運搬されるため、その距離からして輸送コストの負担感は他地区と比べて軽いことが分かる。生コンの1m3の重さは約2,300kg=2.3t。仮に1,000㎥=230万kg=2,300t製造・出荷する場合、普通の生コンでは砂を約800kg/m3使うとすると(強度などにより使う量は異なる)、1,000m3製造するには800tの砂が必要。10t積載のダンプカーで80回(台)工場に運搬する計算になる。隣の工場と10数km離れた工場に輸送したときのコスト差は歴然としてくる。よって、割当により出荷量を割り振られても、また赤黒調整があっても、一見各工場公平であるようだが、利益面から考察すると明らかに不公平なのである。中央地区と他地区の工場が仮に同じ出荷量であったとしても、砂の輸送コストの時点で大きく差が生じ、損益面で支障が出る。協同組合の精神である“相互扶助”から見ると、決して沿うことのない事態となっている。これが以前のように、月間4,000~5,000m3の出荷量があれば気にも留めなかったのだろうが、今や月間2,000m3出荷することも厳しい昨今、材料の輸送コストを見直さねばならないことは当然と言っても言い過ぎではないだろう。
ここでひとつ可能性を探るとしたら、中央地区の現場に納品する場合、仮に西部・東部・南部の工場が割当てられたなら、中央地区の工場に製造委託することである。砂輸送のコスト、そして生コンを現場まで輸送するコストが大幅に改善される。自社であろうが他社にアウトソーシングしようが、製造コストは必要である。組合員であればシェアが決められているので、製造委託した分がなくなる訳ではない。双方において有益なモデルとなると考えられる。
【河原 清明】
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