裏金接待で県政を混乱に陥れた「福岡県町村会」や「福岡県市町村振興協会」などが入居する『福岡県自治会館』。その玄関ロビーには、両団体のトップを長く務める山本文男・添田町長の胸像が鎮座する。
町村会側は、福岡県政を揺るがす事件を起こしておきながら「うちは被害者」と公言し、事実関係についての説明を拒んでいる。山本会長の口からは正式な謝罪さえ出されていない。同会長は、事件発覚後初めての町村会理事会が開かれた今月8日、取材に対して「ニュースなど知らん。新聞やテレビも田舎者なので知らん」と吐き捨てた。「知らん」で通る事件ではない。
取材のため何度か訪れた自治会館だが、玄関ロビーでは山本氏の胸像と正面から向き合う形となる。胸像の目は入館するすべての人間を睨みつけているようにも思える。生存中の人間の胸像が飾られることは稀で、福岡市の元市長の胸像建立計画などは、なかなか資金が集まらない時期があったという。
胸像は町村会によって作られたもので、台座の側面には山本会長の事跡を称える言葉が連ねられている。しかし、胸像になるような偉い人でも、組織の不正は見抜けなったらしい。事件の深刻さについて、自省する姿勢も皆無に近い。県民や取材陣に対する同会長の態度を見ていると、胸像に値するとは思えない。会長を辞任するか、役割を終えた町村会を解散するといった英断を期待したい。それなら胸像の意義もあろうというものだ。
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら