生コンクリートの輸送において、現在は各工場がミキサー車とドライバーを独自で抱えて配送に対応しなくてはならない。どの建設現場でも工程に余裕を持たせようと、午前中の配送を要求するケースが多く、生コンを打設する時間帯が集中してしまう事態が発生する。そうなると、午前と午後とで需要のバランスが非常に悪くなってしまうので、こうしたロスをなくすために集中配送が有効となってくる。
理想のモデルとしては、各社生コン工場が持っている車両を集中配送会社が一括して管理する。そして、生コン需要が増加しているプラントに車両を集中して送り込むのである。配送会社は工場から1日いくらの定額料金ではなく、配送した量に応じた代金を請求することになる。これによって輸送コストは固定費ではなく、練った生コンの量に応じた変動費に換わる。一方、集中配送会社にとっても効率化が進む。車両にGPS対応の携帯電話を搭載することで配車が一元化できるうえ、インターネット上で出荷情報が一括管理できるというモデルである。
だが、いきなり集中配送会社での運営は各社の事情(ドライバーの雇用など)があり、厳しい。まず第1段階として、各社各工場間で出荷の情報を共有することである。よって、当然ながら単独1工場だけでは輸送コスト削減は実現できない。複数工場、もしくは企業間で実施することが必須である。各社各工場で連携し、車輌の貸し借りによって外部チャーターコストを削減する。この活動により日毎、各時間帯において車輌配置のバラツキを解消し、平準化を実施する。共同での輸送によって“遊んでいる”ミキサー車の存在を極力回避し、高い効率で車輌配置を実現する。“より少ない台数で、より現場に近い工場から、より多くの生コンを運ぶ”というコンセプトに基いて、相互間での生コン受注状況の共有化を図る仕組みを構築することが必要である。(テクニカルな要素は割愛する)IT技術を使って各社各工場間のネットワークを作ることである。
【河原 清明】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら