◇2005年に公正取引委員会が立入検査
業界ナンバーワン企業として成長を続けていた日之出水道機器の問題が表面化したのが2005年12月。名古屋市の下水道用マンホール鉄蓋納入をめぐり、メーカー最大手である同社が、自社特許を利用して同業他社に販売数などを指示し、市場を事実上支配した疑いがあるとして、公正取引委員会が本社や名古屋営業所を立ち入り検査した。
同社が高収益を上げ、業界に君臨する基盤である「同業メーカー他社と個別契約を結び、自治体ごとに製造・販売できる数量を『許諾数量』として取り決め、同業メーカーはこの数量を超えて販売してもいいが、その場合は同社に生産委託(OEM)しないといけないという条項」が独禁法に抵触する可能性があると判断されたのだ。
「同社は名古屋市上下水道局発注のマンホール鉄蓋納入で、自社特許を仕様に入れるよう発注者側に働き掛けた上で、特許を使わないと商品が製造できなくなるように同業他社に販売数や納入価格を指示し、市場を事実上支配した」(関係者)ともいわれている。
ところが、これらの疑いを裏付ける事実は認定されず、1年後には本件の審査は終了となった。同社の許諾契約などは違法ではないと判断されたのだ。
ただ、過去には北九州市の下水道用鉄蓋をめぐって、価格カルテルを結んでいたとして独禁法違反(不当な取引制限)で排除勧告を受けたこともある。業界内でも同社の手法に対して批判的なところもあり、同社と争うメーカーが現れるなど、各社の反発も強まっていた。(結果的に同社と争ったメーカーは、裁判に負けたり、競争に負けたりすることとなり、数社が倒産へと追い込まれた)
(つづく)
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