<住宅金融の現状>
給料は伸びず、ボーナスも支払われない大不況下で、変動金利型の住宅ローンは全体の約50%、累積900万世帯が利用しているとされる。これは、ある意味では膨大な住宅ローン破産予備軍とも言える。現実にローンが払えなくなった住宅の競売件数も増加しており、政府は住宅政策を経済対策の柱にすべきである。
<住宅政策の重要性>
新政権で初の税制改正となる『2010年度税制改正大綱』が閣議決定されている。今回の税制改正で目玉となったのが、「贈与税の非課税枠拡大」である。しかしながら、住宅減税よりも金融のほうが重要であろう。家が建たなければ減税効果は全くないからである。住宅ローンが組みにくい年収400~600万円のなか、低所得者層の持ち家を増やすためには民間金融機関だけでは対応ができないことから、住宅支援機構などの公的機関による長期固定・低利・直接融資が必要となる。すでに人口減少が始まっているが、日本には90年までに建てられた住宅が全体の約45%を占め、潜在的な建て替え需要はかなりあると言われている。
<期待される中小企業金融円滑化法の効果>
今年に入り、全国的に住宅ローンに関する元金返済猶予申出が増加しており、民間金融機関は休日の相談態勢を拡充するなど対応を進めている。社会問題となっている住宅ローン破産をこれ以上発生させないためにも、金融庁による、より一層の積極的な民間金融機関への指導が必要である。
【久米 一郎】
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