福岡市内で行われる港湾関連公共事業のうち、福岡市が発注する工事は、「博多港管理」(福岡市中央区)「宮川建設」(同)「コンドー」(同)「土成興産」(同)「博多湾環境整備」(福岡市博多区)の5社を中心に受注業者が決まる。その他にも「久保健」など数社が仕事を分け合う形で受注しているが、契約金額ベースでは全体の8割前後を前述の5社で占める勢いだ。
そして、「博多港管理」と「宮川建設」の受注競争、という構図が見えてくる。
08年10月に九州地方整備局が発注した「博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)」は、市漁協「博多湾漁業権管理委員会」のクレームによって、1年近くも工事が先送りされた。同工事は宮川建設を主体とする「宮川・淺川経常建設共同企業体」が落札したものの、開札日には事実上の工事中止に追い込まれている。市漁協側の言い分は「浚渫工事で発生した『浮泥』により、タコやアナゴの稚魚が死ぬ」というものだ。しかし、タコやアナゴの成育状況を確認するデータもなければ、工事中止の正式記録さえ残されていなかった。 杜撰な形で工事が止められ、再開のために更なる税金投入が行われたのである。
裏にあるのは、同工事の受注をめぐる確執だ。関係者の話によれば、問題の浚渫工事の受注を狙っていた「博多港管理」が最低入札価格を下回り落札に失敗。宮川建設が受注したことに大変な怒りをぶつけてきたのだという。そのあたりの経緯について、さらに取材を進めてみた。
(つづく)
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