小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入資金をめぐり、衆院議員・石川知祐容疑者ら小沢氏の3人の新・旧秘書が政治資金規正法違反の容疑で逮捕された。23日には小沢氏自身が東京地検特捜部による事情聴取を受け、その内容を会見で公表したが、多くの国民が小沢氏の説明に懐疑的である。
焦点になっているのは、東京都世田谷区の土地を買った時の原資である。小沢氏側は亡くなった父・佐重喜氏から相続したものとしているが、金融機関からの借り入れと言ってきたこれまでの説明とも違っており、挙証して理解を得る必要に迫られている。
一方検察側は、土地購入原資にダム建設などの公共事業を利用した闇献金が充てられたとの見方を崩しておらず、慎重に捜査を進めるものと見られる。水谷建設など、小沢氏サイドに金を渡したとされるゼネコン側証言の信憑性や物証の有無などが注目されるが、こちらも事件を方向付ける決定打は出されていない。
こうした状況の中、国民が民主党に向ける視線は厳しさを増している。各種世論調査の結果を見ると、鳩山内閣の支持率は就任からじりじりと下がり続け、小沢氏への事情聴取後は、不支持が支持を上回るまでになった。実母から首相への巨額資金提供に端を発する「故人献金」問題や、小沢氏の土地購入をめぐる疑惑 は、まさに“自民党的な”事件。政権交代の掛け声に浮かれて民主党を選んでみたものの、目前に繰り広げられる政治劇はこれまでと何も変わっていない。検察との対決の構図は、かつての小沢氏の政治の師、田中角栄元首相が逮捕・起訴されたロッキード事件を彷彿とさせる。数十年を経てはいるが、師弟ともに闇献金の授受を検 察に指摘されているわけだ。こうした事態が、政権交代の現実がかすんで見えるほど政治不信を招いていることに民主党は気づいているのだろうか。
さすがに地方議員からは、夏の参院選や首長選などの地方選挙に向けて、このままでは戦えないとの声も上がり始めている。「(小沢さんには)時期が来たら、適切に判断していただける」。九州のある民主党県連幹部はそう語り、小沢氏が幹事長を辞任することに期待をかける。最高権力者である小沢氏に対し表立って の批判はできないが、こうした表現で苦しい胸のうちを表しているのである。民主党国会議員が小沢氏擁護のため検察やマスコミへの批判を強め、ますます民主党の評価を下げるという悪循環に陥りはじめた。同党の地方組織からは、悲鳴にも似た声が聞こえてきそうである。
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