「博多港管理」の子会社である「コンドー」。同社には福岡市漁協箱崎支所のトップである運営委員会会長が取締役に就いている。運営委会長は「博多湾漁業権管理委員会」の委員長を務めており、浚渫工事などの公共事業で漁業権に影響を及ぼすようなトラブルが発生した場合、漁協側の意見を集約し相手側と交渉する権限を有している。マリコンや工事発注者には一番恐ろしい存在だ。「コンドー」の取締役には、市漁協組合長の身内も名前を連ねており、同社や親会社である「博多港管理」は港湾事業に関して隠然たる力を持つという。
港湾関係者によると、「博多港管理」の力の源泉は市漁協であり、特に箱崎支所は発言権が大きいとされる。『漁業権』を持っているからだ。
箱崎支所は、博多湾内にわずかではあるが漁業権を有しており、それが公共事業への強い影響力を保証している。しかし、同支所で「漁」を行っているのはわずかな人数しかいない。前述の箱崎支所運営委員長は取材に対し「(箱崎支所所属の)組合員は30人くらい」とした上で、漁を行っているのは「10人程度」と認めており、その他の組合員は人工島事業の工事船や港湾関連の工事船で働いていると明言している。
箱崎支所は漁協合併に最後まで加わらなかったのだが、同支所が「魚」を獲ることで生計を立てる組合ではなかったためと言われる。同支所は不動産収入やマリーナの収益で「裕福」(漁協関係者の話)であり、漁業権を武器に港湾事業に何かと注文をつけてきたと言われている。
08年10月に九州地方整備局(以下、九地整)が発注した「博多港(須崎ふ頭地区)泊地(-12m)浚渫工事(第2次)」を工事中止に追い込んだのは、他ならぬ「博多湾漁業権管理委員会」であり、この経過を記した九地整側の公式記録「博多港泊地浚渫工事の漁協との打ち合せ記録」によって確認することができる。
公共事業を左右する力を持つ漁協関係者を抱えることで、「博多港管理」は港湾事業を牛耳ってきたと言われるが、このことが受注業者の偏りを生んだことは否めないだろう。
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