景気悪化に伴って外食産業界の業績不振が聞かれるなか、フリーペーパーを中心とした紙媒体が苦戦している。以前は数十万円の記事広告が飛ぶように売れていたが、現在は価格の叩き合いに突入。結果として、生命線である広告収入が減少する事態に陥っている。印刷の原紙価格は上がり、広告料は下がる。受注件数も減少するといった「底なし状態」といっても過言ではない。
かつては100を超えるフリーペーパーが乱立し、各社が熾烈な広告取り合戦を繰り広げていたことが嘘のようである。各社生き残りをかけ、自社媒体の広告募集に加えてインターネットや通販などの新規事業を行なっているが、成功した事例はほとんど聞かない。
そのようななか、あるフリーペーパーでは、自社媒体の広告募集以外に他媒体の広告代理店業も行ない、生計を立てているという。かつては自社媒体に広告を入れ、満広(広告スペースが一杯の状態)にするのが使命であったが、今はそうではないらしい。
「自社媒体の広告営業に行き、うちの媒体はターゲットに合わないから広告はいらないと断ってきたクライアントに対し、ターゲットに合った他社のフリーペーパーの広告を提案し、契約をいただく。以前は『ご法度』だったと思いますが、今はなりふりかまっていられないんですよ」と、この会社の社長は語る。
現在、この会社の3割以上が代理店収入になるとのことだ。まさに「フリー誌同士の助け合い」の試みであるが、フリーペーパーに飽きたという声が聞かれるなかで、抜本的なビジネス構造の見直しに着手しなければならない時期に来たともいえる。
【朝倉】
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